その当時は、ADHDという言葉も知らなかった私たち夫婦は、経済的にも精神的にも追い詰められていった。
後に離婚裁判で明らかになったのは、事故の回数は本当は年回5回であり、元夫は会社では営業職に配属されていたが、ミスの多さが問題となり、倉庫整理に移動となっていたのだ。
また、ASDとは発達障害の一つで
①主に会議などの場所で空気を読まずに発言してしまい、ひんしゅくを買う(コミュニケーション障害)
②予想していないことが起きると何も考えられなくなり、パニックを起こす(見通しが立たないのが苦手)
③自分なりのやり方やルールにこだわる
④感覚の過敏さ、鈍感さがある(うるさい場所にいるとイライラしやすい、洋服のタグはチクチクするから切ってしまう)
などが主な特性としてあげられる。
無口だと思っていた元夫は、コミュニケーション障害が強く、会社で上司や同僚と摩擦が起きていた。また、子育ては見通しの立たないことの連続だ。結婚生活は他人との共同生活なので、自分なりのルールを押し通すことは難しい。赤ん坊は予測不可能なタイミングで、泣き、排便し自分の聴覚を、嗅覚を刺激する。
荒れる元夫から暴言を吐かれ、時には暴力を振るわれていた私も悲惨だが、元夫自身も、慣れない環境で自分をコントロールできずに戸惑ってパニックだったに違いない。
私はだんだんとそんな生活の中で、気分が沈む、突然涙が出るなど抑うつ状態となっていった。そして、車の免許を持っていなかった私は、元夫とともに精神科を受診するようになった。
次回
「カサンドラ症候群と別居生活の始まり」
参考資料
DVの相談先一覧
http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/soudankikan/01.html
※脚注 精神科医 樋端佑樹(といばな ゆうき)による解説
※内容は事実関係に基づいていますが、個人特定を避けるため、人名・地名・関係者名などは個人情報漏洩を避けるため一部事実と異なります。