青木ヶ原樹海で亡くなる女性たち。『服毒心中』『完全型縊頸』『ぬいぐるみとともに……』数は少なくても確実にいる。

コラム

しかし、少ないとは言え、樹海で自殺する女性はいる。
先の知り合いが20年ほど前に見つけた死体は20代中盤~30代前半の若い女性だった。
亡くなってまだ間がなく、まだ唇には赤みがあったという。
木の枝にロープをかけて首を吊る、樹海ではオーソドックスな方法で亡くなっていたが、一つ特徴があった。
「完全型縊頸」という形でなくなっていたのだ。簡単に言えば、足が浮いている状態だ。これはかなり珍しい。多くの場合足や腰が地面について首を吊る「不完全縊頸」だ。

首吊りは、ブラブラと空中にぶら下がっているイメージがあるかもしれないが、別にぶら下がらなくても死ぬことはできる。マンションの玄関のドアノブで自殺するケースなども典型的な「不完全縊頸」だ。
本人はぶら下がるつもりで亡くなっても、体重により木の枝が下がってきて結果的に「不完全縊頸」になる場合もある。

その女性は見た感じ体重は40キロ台だったという。首を吊っても枝が折れたり曲がったりしなかったのだ。
やはり体重が軽い方が「完全型縊頸」にはなりやすいのだなと思った。

「そんなのどっちでもいいじゃないか!!」

と思うかもしれない。実際、本人は死んでいるのだから、どうでもいいだろう。

特徴を言うならば「完全縊頸」で亡くなった場合はアリにたかられづらいという。
樹海で亡くなった死体にはすぐにハエがわく。そして地面に足がついている場合は、アリが上りやすいので上がってくる。そしてハエの卵やウジ虫をエサとしてせっせと運ぶ。「野生の王国」な王国が広がる。
足が地面についていなければ羽のないアリにはたかられづらくなる。ただハエはどうあがいても湧くのであまり意味はないかもしれない。
空中に浮いている方が、獣にも食べられづらい。樹海で横たわって亡くなっている遺体は、腹を食べられている場合が多い。服をまくしあげられごっそりと内臓部分だけなくなっている。顔面の頬肉をかじられていることも多い。
ただ、多少遅いとはいえ、誰にも見つからなかったらそのまま朽ちていき、地面に落ちて何者かに食べられるのだから、結果はあまり変わらない。

知人と樹海を散策している時、知人がフラフラとルートをずれていった

「なにかこっちにあるような気がする」

と言って穴を掘り出した。そんな、急になんで? と思ったら白い石が出てきた。
頭骨だった。
僕は神秘的な現象は一切信じないタイプだが、それでも一瞬不思議な気持ちになった。

かなり昔に亡くなったらしく、大半は土の中に埋まっていた。埋まっていた部分は頭骨も腐ってしまい黒くなっていた。
半分しかない頭蓋骨を見て
「これは女性の頭蓋骨」
だとは分かったわけではない。それではなぜ、女性の遺体だと分かったかというと、近くにブラジャーが落ちていたからだ。
だから、「おそらく女性」であり、女装した男性だったり、ブラジャーを持っていた男性だった可能性がないわけではない。

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