青木ヶ原樹海で亡くなる女性たち。『服毒心中』『完全型縊頸』『ぬいぐるみとともに……』数は少なくても確実にいる。

コラム

また別の場所では、ボロボロになったキャンプ道具と、大腿骨などの骨がパラパラとだけ見つかったことがあった。
屋外に捨てられた死体が腐っていく様子を描いた仏教絵画「九相図」でいえば八枚目の骨相の状態である。もうグロさもない。
これもなぜ女性判断したかと言えば、クマのぬいぐるみなど、持ち物が女性的だったからだ。だからこれも推測に過ぎない。
骨になってしまうと、もう男女の差はほとんどなくなる。

以前、男女の心中死体を見つけたという記事を書いたことがあった。まだ身体のラインが残っていたので、女性だと分かった。
顔は動物やハエに食べられていて、ほとんど頭蓋骨だけを残す状態になっていた。だが、そんな状態になっても生前の様子が伝わってきた。2人は除草剤を飲んで自殺をしていた。2人で並んで首を吊るのは大変だから、横たわって死ぬほうが良いと思ったのかも知れない。
だが、おそらく首を吊ったほうが楽だった。服毒自殺は非常に苦しい死に方だ。
2人とも、これでもかというくらい口を開き、手は胸をかきむしっていた。そしてそのままの形で時間が止まっていた。
ただし、男性がはめていたサバイバルウォッチはしっかりと動いていた。

彼女たちの願いが、最後まで永遠に
「誰にも見られない」
というつもりだったなら、その願いは叶わなかったことになる。申し訳ない気もするが、でもまあ死んでしまっているのだからもうどうでも良いことかもしれない。

先にも書いたとおり、自殺を止めるためのボランティアが見張っているし、観光客もよく歩いている。筆者も、散策中に自殺しようとしているおばあさんの姉妹を発見して、警察に保護してもらったことがある。 もし

「誰にも見られない」
ことを期待して樹海で死のうと思っている女性がいたら、やめたほうがいいかもしれない。死体は傷むし、そしてそこそこの高確率で見つかってしまうのだ。

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