多摩川の河川敷のテントが密集している地域を歩いていると
テントの前に花がたむけてあったり
線香が炊かれていたあとをよく見かける。
テントの中で亡くなっているのをボランティアの人などが見つけ
その後お供えをしたのだろう。
テントは主を失った後に廃墟になってしまう場合もあるし
違う誰かが住み着く場合もあった。
ただ多摩川の河川敷の場合、2019年の大型台風で
ほとんどのテントは流されてしまった。
台風の翌日、現場に行くと
「ホームレスの知り合い一人が流されてしまったようだ」
と悲壮な顔で話す男性がいた。
台風一過のあと、みんなで探しているが見つからないそうだ。
以前から大きな台風があると、ホームレスが流される事故があった。
ただ流されたかどうか確証はないため、報道もされない。
遺体が上がった時に、ひっそりとしたニュースが流される程度だ。
川崎競馬場の近くにいた男性は
「ちょくちょく流されてたよ。
警察に言うも何も、誰だか知らないしね。
まあ東京湾まで流されてサメのエサになったんじゃないかな?」
と、冗談っぽく語った。
だが、目は笑っていなかった。
それ以外にも、交通事故で亡くなることもあるし
暴力を受けて亡くなることもある。
自殺して亡くなる人も多い。
遺体が、見つかった時にはミイラ状態で
死因がわからなかったというのも珍しくはない。
大阪のあいりん地区などドヤ街と呼ばれる地域では
日雇い労働者や路上生活者を支援する団体が夏祭りを開催することが多い。
お祭りの片隅には、一年間で亡くなった人の写真や名前が掲示されている。
眺めていると、人知れずこんなに大勢が亡くなっているんだ、とショックを受ける