マイノリティのためのお役立ち情報&コミュニティ

盗みに依存する窃盗症「クレプトマニア」からの脱却|648日目の闘い

マスクの女性

入院と自助グループ、盗らない日々の始まり

 

「通院と同時にクレプトマニアの自助グループにも通い始めました。病院での治療法としては、盗ってしまったら正直に医師に申告すること。自助グループでは、当事者同士でミーティングを繰り返し行いました」

しかし、治療を始めたものの万引きをやめることはできなかった。

 

「主治医にも自助グループのメンバーにも本当はまだ盗っていることを告白できませんでした」やめなくてはいけない、でもやめたくない。やめるにしてもやめることを先延ばしにしたい。日々葛藤を繰り返す中、ある転機が訪れる。

 

「当時働いていた勤め先から、半年後に会社都合で退職して欲しいと言われました」

会社を退職したら入院しよう。入院して今度こそやめようと決意する。通院から10ヶ月後に入院し入院中は治療を受けつつ、これまで盗った店に謝罪の手紙を送り、覚えている限り、万引きした商品の代金を返金した。

 

「入院中は週に約20回程、当事者同士でミーティングしたり、依存について学んだり、カウンセリングを受けたりしました」

3ヶ月の入院を経て彼女は盗らない生活を始める。取材をしたこの日は、彼女が盗らなくなって648日目。盗らなくなった彼女は、当時をこう振り返る。

 

「私は元々生きるのが下手なんです。人生という道を歩くのに常に2本の杖が必要で。片手には摂食障害という杖。もう片方は、受験勉強だったり、部活だったり、仕事だったり。とにかく何かに依存していなければ、真っ直ぐに立つことすらできなかった。クレプトマニアを発症する前は、仕事に依存していました。体を壊すまで働いて自分を痛めつけて。万引きをするようになる前にうつで休職をし、その後は仕事量が減りました。ワーカーホリックという依存を手放したことで、もうひとつの杖が必要になった。そこにスッと入ってきたのが万引きという杖でした」

 

一次障害である摂食障害は寛解していない彼女だが、クレプトマニア寛解は大きな自信に繋がったのだいう。

「いつかはアディクションに頼らずに生きていける自分になりたい」

これが今の彼女の目標だ。

 

そして彼女が今心がけているのは、毎日を丁寧に過ごすこと。

「盗っていた時は、どこの店で盗るか、何を盗るか、店をちゃんと出られるかどうか、常に少し先のことを考えていました。これからは今という瞬間を大事に生きていきたいです」

 

現在は医療専門職として働く傍ら、万引きで悩む人を減らし、万引きを未然に防ぐ為の活動を行っている悠さん。WEBサイトを開設し、クレプトマニアについての情報発信を行う他、イベントに登壇することもあるそうだ。

マスクの女性