16歳で四国八十八箇所 野宿お遍路した文様作家が出会ったすさまじい現実とは?~優しい人、不思議な出来事、そして恐ろしい人間~

そのほか

歩いて巡礼する旅は「歩き遍路」と呼ばれる。人数としては実はかなり少ない。歩き遍路の中でも、野宿をして回る人はより珍しい。 バス、自動車、バイク、タクシーなどを利用して回る人が多く、中にはヘリコプターで回る人もいるという。

アプスーさんはもちろん歩き遍路で、基本的に毎日野宿をする旅をすることにした。
蚊に悩まされるのは嫌だったので、10月にスタートすることにした。

「当時僕は四国は沖縄みたいな常夏の南国だと勘違いしていたんですね。もちろんそんなわけはなくて、山の方で野宿したら朝方にはマイナスになりました。旅の初日に舐めてたと気づきました」

旅の一日目は徳島でいろいろな道具を買った。菅笠や錫杖、食料など合わせると5~10キロの重さになる。
寝袋はホームセンターで安い商品を買った。暖かいと思っていたから、服もあまり持ってきていなかった。

「初日、3~40キロ歩いた後に、東屋で野宿したんですね。でも寒くてとても眠れませんでした。身体が芯まで冷えてガタガタ震えてきました」

1人震えていると、モーモーという鳴き声が聞こえていた。

「近くに牛小屋があったので、悪いとは思いながら中に入らせてもらいました。小屋の中は牛の息で暖かく眠れることができました」

翌日、牛小屋を管理している人に見つけられた。アプスーさんは怒られると思って身構えた。

「『お遍路さん!! こんなところで寝て。声かけてもらったら、家に泊まらせてあげたのに』って言われました。お遍路さんってこんなに住人に受け入れられているんだって知って、そこから旅が楽しくなりました」

台風で足止めされてた時にお世話になった農家での写真

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