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8050問題|福祉につながらない「ひきこもり」たち。母親の死を目の前に立ち尽くすことしかできなかった50代男性

8050問題,食事する母子

Nさんが50歳になった頃、稼ぎ手だった母親が体を悪くしてしまい、うまく働けなくなっていった。母子で食べていくには、厳しい生活状況の中でも、Nさんは外に働きにいくことはしなかった。長い間、積極的な社会参加をしてこなかったために、人とどう関わっていいのか分からなくなってしまったのだ。同年代や、自分よりも若い人と話すことや、失敗が恐い。運よく就職できたとしても、自分はもう50代。うまくコミュニケーションをとって仕事をする自信はない。それに、自分には何ができるのかが分からなかった。失敗して、落ち込むのもイヤだ。こんな複数の理由があって、Nさんは働けなかった。

病棟,高齢女性の手

 

母親はどんどん弱って、入院しなくてはならなくなった。だが、医療費が払えない。相談できる人が、身近にいないことで、苦しんでしまったNさん。ですが、唯一、お金の相談をできる叔父さんにお金を借り、医療費を払うことができた。でも、結局、母親は亡くなってしまった。

 

ここから、Nさんは、人生最大のピンチに出合う。

 

母親の葬儀の手続きをしていかなければいけないのだけれど、思考停止してしまう。母親の死を乗り越えられない悲しみの中では、仕方がないことと思うが、50代の男性である。少しだけ気持ちを切り替えていかねばならないところ、Nさんは何もできなくなってしまった。

 

死亡診断書を受け取って役所に行く、葬儀屋と打ち合わせをする。といったことが、進まない。お金を貸してくれた叔父さんが、見かねて手を貸してくれたことで、役所の手続きや葬儀屋との交渉を済ませ、母親の葬儀を執り行うことができた。

 

母親がいなくなってしまったので、Nさんは、一人で生きぬかねばならなくなった。だけど、働くことができなかった。どうしても勇気が出ないのです。生活費はなくなり、借りていた家も、家賃が払えず追い出されてしまいました。行くあても、頼る相手もおらず、天涯孤独となってしまったのです。

そして、Nさんは飲まず食わずで、数日間過ごし、都内の公園で行き倒れていたところを警察に保護された。事情を少しずつ説明して、福祉課に繋いでもらった。現在は生活保護を受けて暮らしている。