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生活困窮者支援 ~仕事の切れ目が屋根の切れ目。ボストンバック1つで全国を転々とする、路上・車上生活者への支援の現場~

 

 

しかし、八木さんの今までの活動実績を買われ、現在、私立松本大学で社会福祉士の講座で講師もしている。

 

「私自身は社会福祉士の資格を持っていません。学んだ技法はしばしば、現場の実践の中で行ってきたことに後付けで『こういった名前がついていた』事を知ることでした。授業では、抽象的な理論も、自分がしてきた支援と実際のケースをもとにした事例を対比させることで、具体的な像を伴って学生に紹介することができています」

 

無資格だが、八木さんの活動は、有資格者の社会福祉士よりも社会福祉士らしいと取材を通じて感じた。

 

「とまり木」の前身となったのは、リーマンショック前に、車上生活をしているホームレスを支援したことがきっかけとなって立ち上げた「生存を支える会」という、数人のグループでの活動だった。

 

法人化したのはリーマンショックを経てずいぶん後となる。「生活困窮者からの相談が増え、僕たちにもできることが増えました。それならば、きちんと法人化して活動しようと思いました」

 

2019年10月25日にNPO法人として、立ち上がる。

 

相談者のメインとなるのは、生活困窮者たちだ。年間100ケースほどの相談を受けている。

 

「税金や保険料などの滞納から、役所に行ったら怒られるのではないかと行政に直接支援を求められない人がいます。また、生きづらさを抱えながら、自身の障害に気づかずに生きてきた方もいます。病識を持てない精神疾患の方もいます。住まいの問題やDV相談、債務問題、自殺企図などの相談に乗って支援につなげるための同行支援をしていると、カウンターでの1時間程度の面会相談とは比べものにならないくらい、多くの時間を共にすることになります。たとえば、信号待ちで立ち話をしている時や一緒に煙草を吸っている時などに、発達障害の特性やうつ、統合失調症などの症状に気づくことが多いです」