生活困窮者支援 ~仕事の切れ目が屋根の切れ目。ボストンバック1つで全国を転々とする、路上・車上生活者への支援の現場~

障害者ルポインタビュー

障害自体や病気の相談ではなく、別の問題の相談にのるうちに、発達障害の二次障害によるうつ病や不眠であることに気づき、通院につなげることが多い。

 

結果的に障害者支援となるケースがある。

 

すでに障害者手帳を取得している・確定診断を受けている人が3分の1、病識がないがうつ病や統合失調症などの精神疾患にの罹患を見立てられるなど、発達障害の影を見せる方を含めれば、相談者全体の7割以上を占めるという。

 

小泉内閣時代に拡大した非正規雇用労働者がホームレス化し、その多くは支援施設に入所したり、支援を受けてアパートに入居したりで、ホームレス全体の数は激減した。しかし、今でも車上・路上生活者はいなくならない。いったいどういった人たちなのか伺った。

 

「今も新たに住まいを失うかたが尽きません。あと、全国区で仕事を探す癖がある人がいます。割のいい仕事があると、ボストンバック一つ持って全国を転々として定住しない。非正規の職場で、寮暮らしをする。職が切れると住む場所も失ってしまう。そういう人たちです」

 

そういった人の中には、発達障害を持つとおぼしき人も多い。特性上、特定の仕事への拒否感が強く、経験のない仕事はしたくないといった理由で、表面的に割のいいと感じる仕事を求め、全国を転々とする。また、寮備え付けの家具家電寝具を用いてきた結果、次の就労先も同様の家具家電付きの寮に期待せざるを得ない場合も多い。

 

しかし、非正規労働者の彼ら彼女らは、企業の都合で簡単に首を切られてしまう。借地借家法の第1項で「期間の定めがある建物賃貸借において、期間満了の1年前から6か月前までの間に、相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ、更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす」と定められている。

 

しかし、そういった企業は、自分たちの寮はその枠外にあると主張し、早ければ、解雇した翌週に寮を出ていくよう求める。

 

最初の1か月は、前月分の給与でビジネスホテルなどに滞在できるが翌月にはお金は尽きる。そうすると、路上・車上生活となる。本格的に生活にひっ迫した人が、八木さんに助けを求め、相談に来る。人は生活拠点を持ち、定住したいものではないのか。八木さんは言う。

 

「地域に定住するのが、不安であったり、めんどうくさい、わずらわしいと感じる人もいます。愛着を持てる人間関係がない。なので、仕事の切れ目が屋根の切れ目なんです」

 

そういった人間関係や自分の居場所に愛着を持てない人に対し、まずは洗濯機や冷蔵庫など

自分が選んで購入した「自分のもの」を増やすことが、生活拠点作りの支援の重要なポイントでもある。

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