片づけられない当事者たちは、「誰か私(僕)の代わりにやって欲しいと」思う反面、「物を捨てられたらどうしよう」「物を捨てなさいと怒られたら嫌だ」とも考えてしまう。そのため、自分以外の人に、片づけや掃除をなかなか頼めないでいるともいう。
そこで紹介したいのが、「家事代行サービス」の利用だ。筆者は、本業のマンガ制作が暇な期間中に、家事代行サービスのスタッフとして働いたことがある。
また、筆者はまんがの執筆などで忙しく、掃除ができないときは「ハウスクリーニング・サービス」に、普段掃除できない窓やベランダ等々の掃除をお願いしている。頼まれる人の気持ちも、任される人の気持ちも、両方が分かるのです。
掃除って、実は特殊技能なんです。どの用具を使うと一番キレイになるのか、この素材にはこの用具など、ルールもある。家庭の主婦でも、その見分けはなかなかできず、試行錯誤して掃除している。苦手な人には、本当に大変な作業となります。
ですから、できる人に丸投げしてしまったほうが、お得なのです!
家事代行を頼む理由は様々だ。妊娠中で体が重くて掃除ができない・薬品のニオイが苦手で掃除ができない。高齢の親の家にヘルパーに行って、自宅の家事ができない。日中忙しく、住居は寝に帰って寝るだけで、片づけができないなど。
身体障害・精神障害・知的障害がある人は、受給者証を取得していれば、福祉サービスの中の、居宅介護(ホームヘルプ)で家事援助を受けられる。基本的に1割負担で、調理・洗濯・掃除等の家事のサービスを受けることができる。
大変なのは、受給者証を取得したり、手続きが面倒だったりと、福祉サービスを利用するほどでもない人の場合だ。お金がないと、部屋が散らかったままで生活が困難な状況から、自力で抜け出すことは困難である。
多少料金はかかるが、「家事代行サービス」をうまく利用すれば、やりたくてもできかった片づけや掃除の問題を解決していけるのではないかと思う。
とはいえ、知らない人が家に入ってきて、自分の持ち物をアレコレいじったり、家事代行の人と2人きりになる・状況の説明をするのは、発達障害当事者にとって、少々頭が痛い問題だ。それに、「家事代行サービス」の利用をお勧めすると、決まって出るのが「家が汚すぎて見られるのが恥ずかしい」や「掃除に来てもらう前に片づけなきゃ」という言葉だ。