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共感覚者の彼女の人生~多数派とは異なるユニークで厄介な認知・記憶様式~

【WAISによって発覚した脳の認知特性の偏り】

 

まずは彼女が障害に気づいたきっかけから伺った。

「息子が2歳の時に夫と離婚しました。

息子に障害があることを認めたくない元夫と私で意見が対立したのが大きな理由です」

 

乳幼児健診の時にすでに保健センターから、発達障害の疑いを指摘されていたという。

また、元夫自身も未診断の発達障害だったと彼女は振り返る。

遺伝子の半分は自分のものだからと、彼女は息子が医師より発達障害だと診断されると

自身もWAIS(成人の知能検査)を受けたという。その時、彼女は38歳だった。

 

その結果は、極端な視覚優位だというものだった。

多くの発達障害者は、目から入ってくる情報を処理する能力に長けており(視覚優位)

耳から入ってくる情報の処理をする能力が低い。

発達障害者に視覚的支援が必要なのは、そういった理由からだ。

 

しかし、「本人が支援を必要とせず、周囲に困り感がない」という理由で

発達障害診断は下らなかった。

発達障害の診断が下るか下らないかは、支援の必要性と周囲の困り感がポイントだ。

彼女のように脳の認知特性に偏りは大きいが、診断が下らない

「ASWD(非障害自閉スペクトラム)」と呼ばれる人たちは、かなりの人数にのぼる。

 

「検査の結果には驚きました。

検査をしてくれた臨床心理士さんは、息子のカウンセラーでもあったのですが

その方も驚いていたほど、私には発達障害の傾向が『表向き』なかったんです。

だけど、息子の診察結果を聞くほど、自分とそっくりな気質だったので

自分ももしかしたらそうなんじゃないかとは思っていました」

臨床心理士から「今までの人生はさぞかし困難だったでしょう?」と問われたときは

全くピンとこなかったという。

それくらい、彼女は社会に適応し、特に何の問題もなく人生を送ってきたという認識だった。