ビルからの飛び降り自殺の後遺症を抱えながらグループホームで共同生活 ~全般性不安障害の男性の生活再建~

障害者ルポ

【安心できる居場所がなかった小中学校時代と父の蒸発】

全般性不安障害とは、慢性的な不安症状が長くつづく、従来の不安神経症の診断名です。原因は一般的に、ストレス、心配事、何らかの精神的ショックなどの心理的要因だと考えられますが、実際にはそのような出来事がなくとも日常生活上の様々なストレスを背景に、いつのまにか発症しているケースが多いです。症状の一例としては、慢性的な不安、緊張、頭痛、動悸、めまい、不眠などがあります。
(引用:HOSITA.JP https://www.hospita.jp/disease/1691/

「小中学校時代は、両親の喧嘩を見て過ごしました」
名波さんが中学生の頃、父親は蒸発している。
生まれ育った家庭は、安心して過ごせる場ではなかった。

 

「小さい頃から何かと不安を抱えやすい性格でした。家庭の影響はあると思います」
父がいない暮らしの中で、大学進学は早々に諦めた。

 

精神疾患や精神障害を抱える人の幼少期の話を伺うと機能不全家庭であったり、親が不仲だったりと幸せな幼少期を送っていないケースを多く見かける。成育歴はその後の人生に大きな影響を及ぼす。

 

名波さんのメンタルも幼少期から不安定だったようだ。

 

【就職、そして彼女との出会い。パニック発作に苦しむ日々】
そんな中、名波さんは高校に進学し、営業の仕事についた。会社では免許を取ることを勧められたが、免許を取って運転していけるか不安だった。

 

「彼女は偉大過ぎる人でした。それに比べてできない自分が情けなくて、パニック発作を起こすようになりました」

 

それでも彼女は、名波さんを支え続けてくれた。

 

パニック発作を抱えながらも、29歳~31歳の間はパチンコ屋で働き、リーダーまで上り詰め、正社員にならないかとも誘われた。

 

しかし、31歳の頃から希死念慮に襲われるようになった。
「どのビルで死のうか考えて、30キロくらい歩いたんとちゃいますかね。とにかく歩いていないと不安でした」

 

なぜ、飛び降り自殺にこだわったのだろうか。
「人を傷つけて刑務所に入ったほうがいいか、自分を傷つけるかで本気で悩んだ時期があります。しかし、やはり人を傷つけて刑務所に入る選択はできませんでした」

 

電車に飛び込もうとも考えたが、賠償の問題で家族に迷惑がかかる。車に飛び込んでも、タイミングよく飛び込めず、死ねないかもしれない。頭の中は自殺することでいっぱいになっていった。

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