入るべきかどうかとても迷ったが、好奇心が勝り、中に入った。祭壇が置いてある部屋はとても華やか……というより原色で、日本のお寺っぽくない。
「すいません~ 誰かいらっしゃいますか?」
と弱々しい声で訪ねてみると、奥から50歳くらいの作務衣を着た女性が出てきた。廃神社を探して登ってきた旨を伝えると、奥に戻り和尚さんを連れて戻ってきた。
ただし日本でよく見る、僧形とは違う。
「コンニチワ。廃神社デスカ? ソレ昔、修行ニ使ッテイタ施設ダト思イマスヨ。神社デハナイトオモイマス。コノ建物ノ先ニアリマス」
と、強いなまりのある言葉で言われた。
なるほど、目的地は、もっと先だったのか……。しかし気になるのは、このお寺はどんなお寺なんだ? 恐る恐る聞いてみると
「ワタシ、韓国カラ来マシタガ仏教好キデス。ココハ自分デ作リマシタ。全部手作業ダッタノデ大変デシタ。今ハ本殿ヲ作ル予定デス。ソノタメノ材料ハスデニ買ッテアリマス」
とのこと。
見ると、敷地内には材木やハシゴが山積みになっている。昔、使われていたお寺を和尚さん一人で建てなおしたということだろう。
「何モアリマセンガ、ゴ飯食ベテ行カレマスカ?」
と聞かれた。
せっかくなので、お邪魔することにした。室内もいかにもハンドメイドで作ったという雰囲気。