実際、泥棒を繰り返していたホームレスもいたし、仲間を河川敷に生き埋めにしてお金を奪ったホームレスもいた。
結局、ホームレスという存在を語るとすると
「いい人も悪い人もいます。やる気がある人もない人もいます。お金を持っていない人が多いですが、中には持っている人もいます。家族がない人が多いですが、頻繁に家族と会う人もいます」
みたいな歯切れの悪い結論になってしまう。
これではピンとこないよ!! と思うかもしれないが、でも世の中そんなものなのだ。
そうやって、考えていると、この問題は血液型占いに似ているなあと思った。
血液型占いはABO式血液型をもちいる占いで、実は日本独特の占いだ。
ABO式血液型は輸血や遺伝などで役に立つ分類法だ。もしA型にB型の血液を輸血したら死んでしまうのだから、それはもうとても重要な情報だ。
ただ、血液型と性格の関係性については科学的根拠は全くない。つまり血液型占いは全部、インチキだということだ。
だがむしろ、ABO血液型に対する正しい情報よりも、血液型占いの情報の方が頒布しているだろう。
「A型は几帳面」
「B型は奇人」
「O型はズボラ」
「AB型は二重人格」
なんていうのをみんな一度は聞いたことがあるだろう。これらは全部、妄想情報だ。
これらの情報がなぜ広がるかというと、シンプルで覚えやすいからだ。
一人ひとり全く違う複雑怪奇な人間を、あっさりと4パターンに分ける事ができる。
遊びでやっているならまだしも
「B型はうちでは雇いません」
などと言い出す馬鹿な会社が現実にいた。
最近では、ブラハラ(ブラッドタイプ・ハラスメント)という言葉も生まれ「血液型を根拠に人を差別するのは良くない」という考えが徐々に根付いてきている。