友人が老人介護施設に通勤する際、Pちゃんも一緒に「通勤」していた。
通勤時間になると、Pちゃんは自分からかごに入り出勤の準備。
そして、施設に着くと、背中を差し出し、お年寄りに撫でてもらう準備をする。
それがPちゃんの仕事だった。
Pちゃんのお陰で、QOL(クオリティーオブライフ=生活の質)を向上させたお年寄りもいれば、認知症の進行が遅かった方もいたという。何よりもお年寄りが笑顔になった。
Pちゃん自身も年齢とともに病を患い、出勤できる日が減った。
友人が「Pはお留守番だよ」と言っても、Pは出勤の習慣をなかなかやめなかった。
友人が看取る最後の最後まで、Pちゃんは、背中を差し出し、友人を癒そうとした。
Pちゃんが亡くなったという話を聞いて、施設のお年寄りたちは自発的に千羽鶴を折り、お墓にそなえてくれるよう友人に頼んだという。
また筆者の息子は発達障害があり、感覚過敏が酷かったの幼少時、Pちゃんと数時間遊ぶとリラックスして一緒に眠ることが多かった。
警察犬としては「出来損ない」と言われたPちゃんだったが、セラピードックとしては、たくさんの子どもやお年寄りを癒し、仕事に誇りをもっていた。
群れの中で生活する犬にとり、仕事という役割があることはやりがいにつながり
人と触れ合うことは、生きがいや癒しにつながる。
障害を持った方の多くが、社会や人間関係で否定され、傷つき、二次障害(本来の障害そのものではなく、傷ついたことにより、二次的に精神疾患・障害となること)を負う。
もちろん親や支援者は二次障害を予防しようとするが、それでも二次障害を防ぎきることは難しい。
そういった方が、過去に負った心の傷が動物と触れ合うことで癒され、笑顔を取り戻すことも多いという。
また、動物と一緒に暮らすことで、世話をしなければいけないという責任感が産まれ、昼夜逆転の生活を送っていた方が、朝ごはんのために起きて、結果的に生活のリズムを取り戻すということもある。
特に精神疾患・精神障害の方にとり、睡眠時間が一定している・質のよい睡眠をとれていることは、精神科医が回復の指標とすることも多い。そういった意味でも、動物との暮らしは、規則正しい生活を送ることの手助けとなる。
傷ついた動物と人間が支え合って生きていく。動物にとっても人間にとっても幸せな関係だ。
住宅事情により、ペットを飼えない方も多いと思うが
動物と触れ合える場所は増えている。
あなたも動物たちと触れ合う機会を持ってみてはどうだろうか。
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