宇宙人を神と信仰する新興宗教団体に潜入取材。永遠に生きられるという“希望”が持つ危うさとは?

そのほか

その教団の最大のイベントは夏の合宿だった。教祖もずっと滞在していたし、日本全国から400人強の信者が集まり、海外の信者の人たちも数多く訪れていた。
会場は東北地方のスキー場の大きなホテルだった。夏場はほとんど利用客がいないので、貸し切っていた。参加費用は驚くくらい安かった。その中でも一番安いコースで入ったので、大部屋でたくさんの男性信者とともに寝泊まりをした。むさ苦しいが、取材をするには、良い環境だった。

 

初日は、24時間の断食からはじまった。水をのぞく一切のものを口にできないし、基本的に他人と会話など交流してはいけない。そして断食明けには、薄暗い大広間に案内された。そこで一気に、断食は開放される。教祖の最初の掛け声は、

「オールウェイズ!! オールウェイズ!! オールウェイズ!! コンドーム!!!!」

だった。信者たちは大声で教祖に続いて「オールウェイズ!! オールウェイズ!! オールウェイズ!! コンドーム!!!!」と発した。

 

なぜコンドームなのかと言えば、食事とともに性行為も開放されるからだ。
セックスは男女間でも同性間でもオーケー。異性を独占する権利はないので、基本的に誰とセックスするのも自由だ。先の掛け声は

「セックスは自由にしてもいいけど、ただしどんな時もコンドームはつけなければいけないよ!!」

という教祖のありがたい言葉だったのだ。

 

お風呂は混浴で、夜中地下ルームでは裸に近い格好で踊るダンスパーティーが繰り広げられていた。当時流行っていた、。モーニング娘。の『LOVEマシーン』が繰り返し大音量でかかっていた。

 

この教団は『フリーセックス教団』としてカルト団体だと揶揄されることも多かった。だが個人的には、あまりカルトさは感じなかった。性行為をする際は、相手の合意をとることが絶対だった。誘われても断る権利は男女ともに絶対的にある。つまり、普通に異性を口説かなければならないのだ。

 

整った顔の韓国人や、優しい雰囲気の白人黒人の男性はよくモテていた。
雑魚部屋に泊まっている、筆者のような冴えない日本人はなかなかモテない。つまり日常とあまり変わらないのだ。

ダンスパーティーで果敢に女性を口説こうとするたびに、けんもほろろに断られ続けた若い男性が

「入信したらセックスできるって言ってたじゃないか!! 嘘か!!」

と大声で切れてしまっていた。
場内はキリリと凍りついているのに
~にっぽんのみらいはウォウウォウウォウウォウ♪~
と『LOVEマシーン』が虚しく流れていた。

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