精神医療、ここまでぶっちゃけていいの?①~組織のど真ん中にいるか辺縁にいるかの発達障害者~

インタビュー日本語

【1回目 組織のど真ん中にいるか辺縁にいるかの発達障害者】

 

田口 私が感じていたのは、発達障害の親御さんの多くにも、多かれ少なかれ同様の特性があることお医者さんも知っているけど、親御さんの方は把握していないことも多いし、医師も言わないことが多いなということでした。

 

樋端 自分はもともと精神科全般から思春期、児童精神の領域へ降りてきたので、親も子も含めてフォローすることが多いのですが、小児科医の先生は、やはり医療モデルで、親にきちんとすることを期待するドクターが多いように思います。そのあたりのギャップが実際どうなのかということを見える化するために、長野県の小児科医、精神科医、医療ユーザーに、アンケートを取るというような調査研究をやっています。

 

田口 都内某所の大学病院の元小児科部長の先生と有名国立病院の児童精神の先生が「親御さんには言わない。怖くて言えない」とおっしゃっていましたが、先生は伝えるんですか?

 

樋端 自分も関わっている発達障害のグループ「親子の発達障害あるあるラボ」は、親も特性があるのが前提です。遺伝子上も親子なら設計図が半分同じなんだから、そりゃそうでしょうよというところからスタートしてます。

 

田口 そういう視点に立っていらっしゃる先生は少ないですよね。私は「親も自身の特性の理解のための検査を!」と書こうと思っているくらいです。

 

樋端 ただ親子であっても二人の親の特性のミックスでもありますし、相性が悪いこともある。たとえば思いついたまま心のままに動きたいADHDと、できるだけ見通しをたてて不安を減らしたいASDの特性でも、みごとにかちあいます。

 

田口 なるほど。

 

樋端 だから親も自分自身のタイプを理解していないと、それこそ子育ても上手く行かないし、お互いにしんどい思いをして、二次障害につながると思っています。講演会などを依頼されて親対象に話すときも、学校の先生方対象に話すときも、まず「自分のタイプは?」というあたりは必ず話しますね。

 

田口 有名国立病院の医師は話してくれませんでした。都内某所の大学病院に至っては「お母さんがまともだから、お子さんが発達障害と告げたけど、ストーカーになられると困るから、話が通じ居ない親御さんの子は、耳の問題として耳鼻科に回す」とおっしゃっていてびっくりしたんです。

 

樋端 一般向けの講演会などや、ゆるいグループで話を聞いたり、したり、他の人の言動を見るなかで自分のタイプにも気づいてもらえればいいんですよ。だいたい自分のことより他の人の事のほうがよく見えるものですから。

 

田口 私自身は検査をしています。やはりグレーゾーンで凹凸があります。ただ社会生活に何の支障もないので、診断が下っていないというだけです。

 

樋端 特性があっても周囲の人と距離感を選び良好な関係をもち、自分にあった生き方ができていれば問題ないですね。そのためには、それぞれの人の、情報や感覚などのインプットと、表出や行動などのアウトプット、興味の対象などのモチベーションに合わせた環境を整え、自分に合った場や生き方を主体的に選んでいけるようにしていければいいのだと思います。

 

田口 そう思います。環境整備が一番大切だなと思っています。

 

樋端 少数派の体験は理解されづらいですが、入出力をさまざまな自助具などもつかって整えて対話ができればコミュニケーションもできます。
おめめどう」はご存知ですか?

 

田口 分かりません。
今調べました。こんなところがあるんですね!

 

樋端 おめめどうの社長さん、フォローしてみてください。
いろいろ発信されています。
https://www.facebook.com/ayako.okudaira

 

田口 はい、ありがとうございます、します。

 

樋端 社長のハルヤンネさんも、自閉症の息子さんを育てられた親御さんで、発明家で起業家です。こだわりの人ですが…。関東ではまだまだ知られていないようです。書籍も参考になりますよ。

 

田口 そうなんですか。けど、私もこだわりが強いからこそ、ライターなんかしています。

 

樋端 文筆業はユニークな視点や、こだわりを存分に活かして自分のペースでできますものね。

 

田口 翻訳もそうですよ。翻訳会社の社長の仕事は、翻訳者のメンタルコントロールと言われるくらい、翻訳者にも多いと思いますよ(笑)

 

樋端 翻訳業もASDに向いていると思います。というか、そうでないとできない仕事かも。

 

田口 なので、私の周りの同業者は、ほとんどが発達障害者だと思います(笑)みんなこだわりが強くて、過集中ですね。私はコミュニケーションに難がないタイプですが、コミュニケーションに難がある作家さんのフォローに回ったりしてました。

 

樋端 同じタイプの人に出会って話したい、工夫をシェアし合いたいとはじめた「あるラボ」は、他人には期待せず、やりたい人がやる「この指とまれ」方式でやっています。

 

田口 私もそういうの大好きです

 

樋端 だいたい非営利のボランティアサークルですから無理してまではやらない。会則はこれだけ。
・やりたい人がやる。やりたくない人はやらない。
・やりたい人はやりたくない人を強制しない。
・やりたくない人はやりたい人の足を引っ張らない。
そして、気負わずだれもやりたい人がいなくなればいつ休止になってもいい。


田口
 いいですね。楽しくやらないとプロジェクトって成り立ちませんよね。

 

樋端 基本、自分のためにしかやらないこと。そしてあふれた分をおすそ分けですね。おこるさまざまなトラブルも楽しむ。それが発達障害的生き方としていいのかなあと思います。

 

田口 私の周りは発達障害っぽい福祉関係者ばっかりですよ。ADHDの介護施設所長さんとか、みんなまとまりはないです(笑)

 

樋端 発達障害者はだいたい協調性がないから組織のど真ん中にいるか、辺縁にいるかどっちか。組織にいる人は趣味などで自分の世界をしっかりもって、ですね。

 

田口 確かにど真ん中にいますよね~。冠地情さんなんかETVに出ていたので、「王道ですね!」って言ったら「王道の辺境にいます(笑)」っておっしゃってましたけど、そこが心地よさそうなポジションって思いました。

 

樋端 王道の辺境!最先端です。そこから世界が広がる・・。