【初体験は援助交際】

思春期になると自傷行為は性行為にも及んだ。彼女の初体験は援助交際で、好きでもない、肥満体系の中年男性とだった。女性の初体験はその後のセックス観や男性観を大きく左右する。彼女の愛や性行為に対する認知は大きく歪み、その後の人生に尾を引いている。
「セックスしても気持ちいいと思ったことはありません。セックスが嫌いなんです。セックスの間だけは、きれいだよ、かわいいよと言ってくれますよね。一瞬だけでよかった。そんなものが愛じゃないってことは頭では分かっていましたよ」
その初体験は、彼女の心に想像以上に深い傷を残した。
その太った中年男性への嫌悪感から、摂食障害となる。そして、自分への嫌悪感から醜形恐怖症となった。
醜形恐怖症(身体醜形障害とも呼ばれます)では
実際には存在しない外見上の欠点やささいな外見上の欠点にとらわれることで
多大な苦痛が生じたり、日常生活に支障をきたしたりします。
典型的な例では、自分の体には外見上大きな欠点があると思い込み
毎日何時間も思い悩みますが
そのような「欠点」は体の様々な部分にみられます。
外見に対する懸念が重大な苦痛を引き起こすか
日常生活に支障をきたしている場合に、醜形恐怖症と診断されます。
「太るのが許せなかったので、過食嘔吐を繰り返しました。自分の顔が、特に鼻の形が許せなくて、整形手術を繰り返しました」
鼻の穴からプロテーゼ(外科手術でも用いられる人工軟骨のこと)が飛び出したことがあり、それ以来、一番気になっていた鼻への整形が怖くなったが結婚するまでプチ整形を繰り返した。
彼女の薬指には吐きダコがあった。
そんな自罰的な行為を繰り返しながらも、彼女は高校3年生から、受験勉強に打ち込んだ。
「母にいい子だと思われたかった。母に認められたかった。母にこっちを向いて欲しかった」
そして、見事、難関といわれる看護大学に合格したとき、母は初めて、彼女を褒めてくれた。
だけど、それは一瞬だけのもので、母は更なるキャリアアップを彼女に望んだ。母は決して、口に出すわけではない。それでも、母が喜ぶのは、彼女のキャリアアップ・スキルアップの話だけなのだ。母のような人格者として、認められたいという気持ちは、彼女を資格マニアにもした。彼女は充分、キャリアを積んでいるのだが、難関資格に挑むことが生き甲斐だという。大学院への進学も希望しており、母のように大学で職を得ることも考えている。

