話がそれたが、筆者はまずその宗教団体が開催するセミナーに通った。横浜にあるとても立派なビルで開催されていた。
その教団の内容を簡単に言うと、聖書で起きたできごと、創世記、ノアの方舟、などは実は宇宙人が起こしたできごとだったというものだ。キリスト教の亜種とみなすことができるだろう。
教祖はキリスト教が中心の国の人であり、その国ではそれが納得しやすい内容だったのだろう。逆にキリスト教を信仰していない多くの日本人にとっては、少し入りづらい内容だった。
何度か講義を受けたあと、入会の儀式を受けた。教祖に塩水で濡らした手を当ててもらう、それだけだった。この儀式には、教団ならではの意味があった。
『教祖は手を当てることで、あなたの遺伝子情報や記憶情報などを読み取り、そのデーターを宇宙にいる宇宙人の母船に送った。もしあなたが死んでも、宇宙船の中で復活できる』
というものだ。すさまじくインチキ臭い内容だ。
100歩譲ってその内容が事実だったとして、宇宙船内で生まれた生物ははたして“あなた”本人なのか? といういわゆるスワンプマン問題も残る。
訝しがる人たちに、教団はこう説明した。
「あなたたちが疑問を持つのはわかります。でも考えてもみてください。あなたたちは携帯電話を使っていますよね? でも携帯電話の構造を理解している人はいますか? わかりませんよね? わからないけど、携帯電話は実際にありますよね? 教祖の力も、理解はできなくとも、あるんです!! そして皆さんは永遠に生きることができるんです!!」
かなり矛盾を孕んだかなり強引な説明だったが、多くの人たちは強引に疑問を飲み込んだようだった。なぜそんないびつな教義を飲み込むことができるかというと、そこに「永遠に生きることができる」という希望があるからだ。悪い言い方をすれば、永遠の命をエサに信者を募っていると言えるだろう。