「妻がマルチ商法にハマって家庭崩壊した僕の話」|作者ズュータンさんに聞くマルチ商法の恐怖

そのほか

いろいろな怪しい沼にハマらないために、私たちはどうしていけばいいのでしょうか。

夫婦,離婚

ズュータン「うまい話に気をつけよう」というのは、誰にでも分かる当然の注意点ですが、その他にはすごく優しいとかすごく親身な人にも多分気をつけなきゃいけないんだろうなと。僕の本に登場した民生委員とかも、まさにそのパターンでした。親切な人を疑えと言わなくてはならないのは本当に残念なことですが、現実はそういうケースが多い。誰しも、さまざまな不安を抱え、自分のことで精一杯です。今の時代は、人の悩みや不安を受け取れる余裕がありませんよね。でも、人の不安やSOS を受け止める人がいて、初めて悩みを語れる状況になるのだと思います。また、マルチやトンデモ健康法って、それを知らない人たちにとって話を理解するのが難しいため、正直何を言ってるのか分からない……と終わってしまうことも多々あるでしょう。そこはやはり、皆が危機感をもって警鐘をならし、具体的な体験談などを発信して、そういう世界があるんだと広めてほしいです。被害者はそれを目にして同じ体験をした人がいると知ることで、自分もそうだったとか少しずつ言えることに繋がっていくと思うんですよ。そうして被害者が言葉にしていったり、メディアが取り上げてもらうことで、マルチ商法のどこに問題があるのか? という点が共有されていく。これはスピリチュアル詐欺や疑似医学も含め、僕は広くカルト問題と言えると思います。ではカルト問題ととらえた場合に、その問題点はなんなのか。そういったことも共有されていくべきです」

 

この問題は「本人が好きでやっているのではいいのでは?」と言われてしまいがちです。しかしビジネスの成功や、充実した人間関係、不安のない健康な体etc. そういった「夢」を見させられた結果、多くの時間とお金を失う可能性がとても高い。また、ズュータンさんが語るように、一度ハマれば思考も人間関係も崩壊し、ほぼ元にはもどりません。さらに、それらの世界で販売されるものの中には、根拠のない健康効果を謳うものもたくさん。信じた結果、健康被害が出るケースも存在しています。

 

沼にハマらないために、マルチ商法をはじめとするカルト全般、いろいろな体験を見聞きすることはひとつの免疫として作用するはず。自分とは無縁の世界だと考えず、何か違和感のある案件をもちかけられたら、似たような体験がないかどうか調べ、積極的に声をあげていくことも必要です。また、周りの人がハマっている気配を感じたとき、ほんの少しでも理解する手引きとして、ズュータンさんの話を読み返していただければと思います。

 

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