感覚過敏と感覚鈍麻で体調悪化|発達障害者の就労の「目に見えない」困難


しかし、リュウ太君はコミュニケーションには問題がないが、感覚過敏(五感が過敏なこと)と感覚鈍麻(五感が鈍いこと)を併せ持つ。完全にサポートなしでは暮らせない。
「暑さに対して鈍麻(鈍い)で熱中症になりやすいです。
暑い日や春先なんかに、まだオーバーを着てもいいだろう、分厚い上着を着てもいいだろうと着ちゃうんですね」
自分で熱を感じることが苦手なリュウ太君は熱中症になってしまう。なので、大人になった今も朝、どの服を着たほうがいいというアドバイスは欠かせない。
仕事をすることのきつさはコミュニケーションではなく、体調管理の面だという。
感覚過敏があると、蛍光灯がまぶしく感じる人もいれば、生活音が耐えられない人もいる。感覚鈍麻があると、寒い日でも寒いと感じない、骨折をしても痛みを感じずに気づかない人もいる。発達障害者にとって、感覚過敏・鈍麻の問題は、仕事の作業そのものよりも生活のさまたげになるケースがある。しかし、それは健常者からは理解されにくく、見えない障害だ。理解が得られずにサボっている、だらしないなどの評価につながるケースもある。
そんなリュウ太君には長く付き合っている彼女もいる。その関係にも、前回書いた「報告・連絡・相談(報連相)」の練習が役に立っている。
「報連相の訓練をしたことが、人と会話をできるようになることにつながっていったと思うんですよ」
リュウ太君は女の子と話すときに、何をしゃべってもいいか分からないことはなかった。女の子に質問することで会話ができた。会話の共通点を見つけるのに、質問をしていった。
リュウ太君本人も「女の子と出かけた時に、女の子はオレの話を聞くよりも、自分の話をしていたほうが安心できるんじゃないかと思った。女の子と話すことは割とスムーズにできた」と言っていたという。
恋愛が苦手な発達障害当事者の人は多い。恋愛や結婚だけがすべてではもちろんない。だが、女性からの拒否を「世間からの拒否」と受け取って、ひきこもる当事者もいる。そういう面からも小さい頃からのコミュニケーションの経験は、非常に大切だ。