間違いだらけの薬選び ~現役薬剤師が語る「絶対ダメ」な薬の飲み方とは?~

インタビューお役立ち

医師にしか薬の処方権(薬を処方できる権利)はない。そして、薬剤師は医師の処方せんに基づき薬を調剤する。医師の処方に疑問を感じた時に薬剤師ができることを伺ってみた。

 

 

「処方せんに『疑わしい事』があれば、薬剤師は疑義照会(医師の処方に物を申すこと)しなければならないことは法律で決まっています。だけど、疑義照会を処方の妥当性(その薬が必要かどうか)で行使できるかといったら、難しいのが現状です。それだけ医師の処方決定は強く、薬剤師が処方の妥当性を問い合わせることはめったにしません」

 

薬の多剤大量処方が起きる背景には、こういった事情もある。そして、薬剤師に処方権(薬を処方できる権利)はないので、井田さんが減薬のアドバイスをする際には、患者さん本人が医師と交渉することになる。自分の処方に口を出されることを極端に嫌う医師もいるので、アドバイスをする際には医師の性格まで聞き取り、交渉の仕方をアドバイスする。

 

【お薬をたくさん処方してくれるのがいいお医者さん?増え続ける薬代】

また、薬の多剤大量処方の背景には患者側のニーズもあるという。

 

「風邪で病院にかかった際に、抗生物質が処方されるケースが多くあります。だけど、抗生物質は細菌を殺すものであって、ウィルスには効き目がありません。風邪はウィルスによりかかるものなので、抗生物質は効きません」

 

にも関わらず、風邪でも抗生物質を処方する医師がいる。「風邪に特効薬はない」と言われるが、患者側にも「受診したら、何かお土産(薬)を持ち帰りたい」という気持ちがある

そのニーズに応えるように、医師はサービスとして薬を処方している場合が多い。あくまでも、善意であり、サービス。そのサービス精神が、本来、必要のない薬の処方につながり、患者は「安心」のために薬を飲む。

 

その結果、医療費はうなぎのぼりだ。

 

厚生労働省の調査では、平成29年度の国民医療費は43兆710億円である。その18.1%が薬局調剤医療費、つまり薬代だ。

 

(図、統計:厚生労働省 平成29年度 国民医療費の概況

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-iryohi/17/index.html

 

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