聞こえているのに聞き取れない?|APD(聴覚情報処理障害)の YouTuber笑歩さんに聞いてみた

障害者ルポインタビュー

気になる撮影の内容は「コンサータ」について。既にご存知の方も多いだろうが、コンサータはADHDの治療薬である。APDの情報を発信するチャンネルで、なぜコンサータを取りあげるのか。疑問に思われた方も少なくはないかもしれない。実はAPDと発達障害の併存率は53%と高く、このことは、近年注目されるところとなっている。

 

なみしさんもAPDの診断が下ったことがきっかけとなり、発達障害であることが判明したひとりだ。また、笑歩さんもASDの当事者であり、「笑歩APDチャンネル」ではAPDを中心に発達障害全般の情報も発信している。

笑歩(F)さん,みなしさん

撮影終了後、自身がAPDであることを気づいたきっかけ、診断に至るまで、ご自身のことについてなど伺った。

 

笑歩「学生の頃は教科書を見て先生の話を聞いてテストを受ける。そういったレーンがあるじゃないですか。でも社会に出るとそういうレーンがなくて、フリートークが多い。私の場合はそこで気づきました。学生時代も友人から『話、聞いてないよね?』と指摘されることが度々あって。違和感は感じていましたが、それが確信に変わったのは、社会に出て働くようになってからです」

 

なみし「私が子どもの頃は、発達障害はあまり知られていませんでした。APDは今でも殆ど知られていない障害です。自分の中に発達障害やAPDという概念がなかったので、自分が努力していない、自分が聞こうとしていないから、聞けないのだと思っていました。周りの人もそう感じていたと思います」   

 

社会に出てから割りに早い段階で、聞き取り困難に気づいた笑歩さん。一方、なみしさんが聞き取り困難に気づいたのは比較的最近のことだ。

 

なみし「本気で自分がバカだから、人の話が理解できないのだと思っていました。仕事柄、支障が出る場面が少なかったのも関係しているかもしれません」

 

なみしさんは現在、サインパフォーマーとして活動する傍ら、ライブハウスの運営に携わっている。さらには、男性ダンスボーカルユニットのマネージャーも務めるなど多忙を極める。

 

なみし「おかしいなと感じたのは、初めて事務職の仕事を経験をした時です。スピード感が求められる職場で。雑音が多い環境でもありました」

 

ざわざわと雑音のある中で、スピーディーに進められていく会話についていくことができず、何度も聞き返してしまう。大層気まずい思いをしたそうだ。

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