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  • 新米編集長の裏話| 生活保護制度受給の流れ。緊急事態宣言の発令

    新米編集長の裏話| 生活保護制度受給の流れ。緊急事態宣言の発令

    こんばんは。

    明日、2021年、政府が首都圏の1都3県を対象に緊急事態宣言を出すことを決定するという

    ニュースを聞いて、落ち着かない気分の方も多いのではないでしょうか。

    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210106/k10012799151000.html

     

    「私は強い!」と言ってる人って、実は弱かったりする。

    これはずっと思ってることです。

     

    そもそも「強い」ならば「自分は強いんだ!」と自分を鼓舞することはないですからね。

    なので、私は「強いんだ!」「大丈夫だ!」と言ってる人ほど心配してしまいます。

     

    私は最初から「私はいざとなったらあなたを頼るし、頼りにならないのでよろしく!!」と言ってしまいます。弱音もどんどん吐きます。なので、意外に強くてしぶといのかもしれません。

    なので、今回の緊急事態宣言にあたっても

    「大丈夫!」「私は強いから!」と言ってる大切な人ほど

    気にかけて欲しいなと思います。

     

    あいである広場でも緊急事態宣言に関するお役立ち情報は配信していくつもりです。

     

    昨日はTwitterのトレンドに、#生活保護 が上がっていたくらいなので

    4月に配信したこの記事を掲載します。

     

    「生活保護受給のススメ ~新型コロナウィルスで生活基盤を失いそう!子どもの食費が不安な方!障害年金と生活保護の差額も支給されます~」

    https://ai-deal.jp/life-hack/post-2209/

     

    生活保護受給は恥ずかしいことではありません。

     

    困っている方は役所の窓口に行きましょう。

     

    では、よい夜を過ごして、明日へのパワーを蓄えましょう。

     

  • 真冬の路上で眠る、ホームレスたち。昨日まで元気だった人が、あっさりと凍死することもある。

    真冬の路上で眠る、ホームレスたち。昨日まで元気だった人が、あっさりと凍死することもある。

    「ホームレスはいつでもダラダラと寝れて気軽なもんだ」

    と悪口を言う人は多い。特にサラリーマンの目からは、野宿生活をしている人は羨ましく見えるらしい。
    だが、それも温かい季節の話であり、真冬のホームレスに対して「気軽でいいね」と言う人はあまりいない。
    真冬に路上で眠るホームレスは、いかにもつらく、ひょっとして息絶えているのではないか? と不安になる。しばし見つめて、胸が上下に動いているのを見てホッとしてから立ち去る。

    駅前で眠るホームレス
    駅前で眠るホームレス

    大阪のドヤ街西成では越冬闘争という行事が行われる。夏に開催される、夏祭りとは雰囲気がまるで違う。冬の寒さは、人の命を簡単に奪っていく。生きて春をむかえるためには、寒さと命がけで闘わなければならない。

    筆者は昔、上野公園でホームレス生活を体験したことがあったが、まだ10月なのにも関わらずものすごく寒かった。
    寝ていると地面にドンドンと熱を奪われていくのだ。熱を奪われた後は、ガクガクと震えがくる。身体の下に段ボールやすのこを敷けばだいぶマシになるが、それでもぐっすりと眠れるわけではない。

    空き缶を集めるホームレス
    空き缶を集めるホームレス

    身体が冷え切っても、それを温める場所も、手段もあまりない。
    身体を動かして温めるのが一番有効だ。だから夜中の一番冷え込む時間にあえて、空き缶集めなどをする人もいた。一晩中歩き回って空き缶を集め、空き缶を潰し、袋詰していたら、少しは体温は上がるかもしれない。
    でも、夜は自動車事故に遭うリスクは高いし、酔っぱらった人たちから暴力を受ける可能性も高い。
    そして夜に歩き回ったぶん、まだ暖かい昼間に眠る。そして眠っている姿を見たサラリーマンに
    「ホームレスは気楽でいいよな」
    と嫌味を言われるのだ。どう考えてもそんなに、気が楽な仕事ではない。

    かつて上野公園に小屋を建てている人に室内を見せてもらったら、部屋の中ギッシリ布団を詰め込んでいた。その中にギュウギュウと身体を詰め込んでいく。棺桶だってもうちょっと余裕があるだろうと思うくらい、みっしりと這入る。身体の熱を外に逃さないようにしているのだ。だがそれでも悲劇は起こる。

    当時、上野公園では“山狩り”と呼ばれる措置が取られていた。皇室関係者が、上野公園の博物館などを公務で訪れる際、前日と当日に公園でテント暮らしをしている人たち全員が立ち退きにさせていた。
    山狩りの日に、冷たい雨が降った場合は大変だった。朝からみんなびしょ濡れになりながらテントをたたみ、台車に載せて運んでいく。荷物は近所のお寺の前に並べて置くことになっていた。置いた後はめいめい時間をつぶす。ただ金銭的ゆとりがない人にとって、寒空の下で時間をつぶすのは大変だ。
    雨はいつの間にか雪に変わって、彼らの荷物の上に薄く積もっていた。
    そうして皆が移動し終わっても、移動していないテントがある。

    「おかしいなあと思ってテント開けてみたら、中で冷たくなってたよ。昨日までは元気だったんだけどね。人間分からないものだよね」

    と発見したホームレスは、寂しそうな表情で語った。
    その時亡くなった人は、少し前に僕も話を伺っていた人だったのでショックだった。
    すぐに遺体が運ばれ、テントが片付けられ、何事もなかったようになった。

    西成のプーさん
    西成のプーさん

    当時の上野公園では、お酒を飲む人が多かった。野宿生活をする者どうし、酒会を開いて騒いでいる人もいた。一般の客からクレームが入ることもあり、酒を飲まないホームレスからは

    「酒飲む奴は近づいちゃダメだよ。ろくなことがねえからな」

    と眉をひそめながら忠告された。
    だが酒を飲む人には、酒を飲む人の言い分もある。

    「こんな寒い日は酒飲まなきゃやってられないんだよ。酒をカーッと飲んで、身体暖かくして寝ないと死んじゃうよ」

    と言われた。気持ちは分かる。酒を飲むと身体はポカポカと暖かくなった気がする。
    だがこれは非常に危険なのだ。体温は一旦上がった後に、急激に下る。急激に体温が下がる時に、睡魔が訪れる。その時寝るのが、いわゆる寝落ちだ。その時に、外で寝ていたら凍死する可能性が非常に高くなる。

    「お酒飲んで熱くなって、服を脱いで寝ちゃってそのまま死んじゃう人多いよ」

    という話を聞いたことがある。だから酒を飲んで寝るのは危険なのだ。
    そんな話を、同行者がホームレスの男性に語ったことがある。男性は

    「そんなこと言ったって、酒でも飲まなきゃやってられないんだよ!! 他に楽しみもないんだよ!!」

    と怒った。たしかにそれもそうだろうと思う。

    つい先日、新宿西口で野宿生活をしている人に話をうかがった。現在20前後の人が、暮らしているという。多くの人が寝床の前にこれ見よがし空き缶や食器を置いている。つまり暗に「お金を入れてください」ということだ。
    軽犯罪法1条22号は、こじきをし、又はこじきをさせることを禁止しているから厳密には違法だが、でも
    「右や左のご主人さま」
    と口上をぶってるわけでもないから、ギリギリオーケーだろう。お金を入れてくれる人は意外とたくさんいて、多い時には数千円の収入になるという。

    話を聞いた男性は地面に段ボールや布団を敷いて、その上で寝ていた。いかにも寒そうだ。寒くないですか? と聞く。

    「そりゃ寒いよ。見たら分かるでしょうよ。冬に外で寝てるんだから寒いよ。でも寒そうにしてるとお金入れてくれる人が多くなるの。だからちょっと寒いくらいがいいんだよ」

    と言うと、ニッと笑った。
    したたかだけど、悪意のない笑顔だった。

  • あいである広場2020年人気記事トップ10!|自殺、発達障害、ホームレス、二次障害、ゴミ屋敷などなど!!

    あいである広場2020年人気記事トップ10!|自殺、発達障害、ホームレス、二次障害、ゴミ屋敷などなど!!

    あいである広場編集長の田口ゆうです!

    今年、読まれた記事をビュー数のトップ10をご紹介します。

     

    1.「女性のホームレスたちの実態は?精神に疾患を抱えている女性が、冷たい冬の路上に放置されてしまうのはなぜなのか?
    村田らむ

     

    2.「生活保護を受けながら、ゴミ屋敷で孤独死した漫画家の最後の作品とは? フリーランスのクリエイターの夢と現実を見据えて
    村田らむ

     

    3.「事故物件公示サイト『大島てる』の管理人に、殺人者から直接送られてきたメールの内容とは?
    村田らむ

     

    4.「その場所はなぜ“自殺スポット”になったのか? 青木ヶ原樹海、韓国麻浦大橋などから見えてくる現実
    村田らむ

     

    5.「ビルからの飛び降り自殺の後遺症を抱えながらグループホームで共同生活 ~全般性不安障害の男性の生活再建~
    田口ゆう

     

    6.「孫自慢にうんざり ~知的障害のある自閉症の息子は結婚することは叶わないだろうな。人と比べる病を卒業できない~

    立石美津子

     

    7.「発達障害者は迷惑な存在なのか? ~障害者雇用に振り回された会社社長~

    田口ゆう

     

    8.「アルコール依存症と家庭崩壊 ~子どもが毒親を切り捨てる権利~

    田口ゆう

     

    9.「無理にでも普通学級にこだわる親たち ~その弊害。そして迷った末に支援学級を選んだ我が家~

    田口ゆう

     

    10.「多摩川の河川敷で夫婦で暮らすホームレスにインタビュー。仕事、電気、畑を持っていても、それらは一瞬でなくなってしまう

    村田らむ

     

    以上です!

    どの記事も世相を反映してか暗いタイトルですね。

    来年はもっと明るいタイトルの記事も読まれるといいなと思います。

    読んでいない方、どれも面白いですので、ぜひ読んでください。

     

    本年はあいである広場を読んでいただき誠にありがとうございました!

    また書いてくださったライターさん、どうもありがとうございました。

    来年も価値ある記事を提供していきます!

    良い新年をお迎えください。

    来年もあいである広場および株式会社アイデアルをよろしくお願いします。

     

    株式会社アイデアル 代表取締役 飯野由布(田口ゆう

     

  • 言葉は時に刃となる ~匿名の「ネット民」など存在しない。自分が誹謗中傷の「加害者」にならないための取り組み~

    言葉は時に刃となる ~匿名の「ネット民」など存在しない。自分が誹謗中傷の「加害者」にならないための取り組み~

    スマイリーキクチ、笑顔、上半身

     

    今回は、前回に引き続き、お笑い芸人であり、インターネットの巨大掲示板2ちゃんねる(現5ちゃんねる)を中心として、1998年頃より誹謗中傷の被害に遭った、スマイリーキクチさん(48歳)の現在についてお話をうかがった。


    キクチさんは昨年、自身が代表となり、インターネットの中傷案件を長年解決してきた、清水陽平弁護士と唐澤貴洋弁護士とともに「一般社団法人インターネット・ヒューマンライツ協会(https://interhumanright.org/)」を立ち上げた。

     

    今は新型コロナウィルスの影響で活動を自粛しているが、協会では、小中高校を回って「中傷加害者を減らすため」に講演会や勉強会の開催の予定をしている。自身の被害の経験やインターネットとの付き合い方について話すという。なぜ被害者ではなく加害者なのだろうか。

     

    「被害者の方の相談に乗ってきましたが、加害者を減らさないとどうにもなりません。携帯キャリアや警察が講師となって、子どもたちに授業をし、子どもたちに資格を取らせたいです。僕もいい年をしたおっさんです。おっさんの言葉よりも、高校生が中学生へ、中学生が小学生に、インターネットの危険性や被害にあったときの対処法を教えたほうが、心に響くと思いました」

     

    キクチさんが激しい中傷に遭っていた2000年前後は、2ちゃんねる(現5ちゃんねる)が誹謗中傷の中心だった。今はTwitterがその中心となり、若い世代は2ちゃんねる(現5ちゃんねる)のような掲示板を読まないという。そして、SNSは多様化し、Twitter・Facebook・Instagram、TikTokなど新しいサービスも、次々と登場している。

     

    「30,40代以降の人たちのほうが情報モラルやメディアリテラシーがないです。年を取ると頭が固くなってしまう。価値観が固まってしまい、考え方は変わりません。若い人たちがそういった大人たちの巻き沿いにならないようにしたいと思っています」

    今の小中高生は学校の授業などで、インターネットリテラシーを学ぶ機会もあるが、中高年はそういった場に恵まれないまま、大人になってしまう。そういった人たちがインターネットでの中傷加害者になりがちだが、大人の考えを変えるのは困難だ。

     

    スマイリーキクチ、上半身、笑顔

    自分が被害者になったとき、逆に加害者になったときに、相手の立場に立って考えるシミュレーションを子どもたちと試みている。「ながらスマホ」をしていて、自分が加害者になってしまった場合にどう考え行動するか、その時に被害者やその家族だったらどう感じるか、そういったシミュレーションを通じて、相手の気持ちを思いやることを考える。キクチさんは時には講演などで、子どもたちとたわいもない話もするが、子どもたちから教わることも多いという。

     

    「会話をしていたら中学校1年生の生徒さんが『普通』という言葉を使った瞬間、自分の頬を軽く叩きまして。『普通というのは自分だけの視野で物事を見ることだから、視野を狭めるので使わないようにしてるんです』と指摘したことがあります。若い世代の方がよほどしっかりしていると思います」

     

    総務省は、今年11月、SNSなどで中傷された被害者の迅速な救済に向けて、中傷の投稿者の情報を1回の裁判手続きで開示できる新制度の創設などを盛った最終報告書案をまとめた。現行の制度では、情報開示請求(インターネットで誹謗中傷をした相手の氏名・住所・連絡先を特定する手続き)には2回の裁判を要する。新制度は早ければ、2021年度には法制化される予定だ。この改正にあたっては、言論の自由との兼ね合いに関する議論があるが、そこをどう考えるかうかがった。

     

    「例えば、大企業の不正を暴けなくなるなどの声がありますが、なぜ不正をインターネットで、匿名で、暴く必要があるのでしょうか。しかるべき機関に告発すればいい。言論の責任があって、初めて自由があります。匿名になった途端、タガが外れる理由が分からない。子どもたちに透明人間になる薬があったら、何をするかという話をします。みんな、好きな女の子の裸を見たいとか、嫌いな奴を匿名で叩きたいとか、モラルに外れたことを言います。だけど、その薬が切れたときには、自分が素っ裸でパソコンに向かっている姿が見られてしまうかもしれない。ネット民なんて存在しなくて、ネット民にも住民票があります。現実の自分もインターネット上の自分も、どっちもリアルな自分なんです」

     

    最後に自分が中傷加害者にならないインターネットとの向き合い方をうかがった。

    「自分の生活がうまくいっていなくて、イライラしているときは、加害者になりやすいです。そんなときは、スマートフォンから離れる。

    また、SNSで周りと自分の生活を比べない。自分のペースを守り、流されないことが大切だと思います。SNSは自分が発信している放送局のようなもの。見ている人がいることを忘れない。フォローワー数が少ないからといって、友達の友達が自分の投稿を好意的に見るかは分からない。みんながやっているから自分もやるのではなく、言葉には責任が伴うことを考えて欲しい。

    また、被害に遭って、つらい・苦しい時でも、死ぬのではなく生きる選択肢を選んでほしい。そのための対処法などを伝えていきたいです。

    ネットでの誹謗中傷はカッコ悪いことなんだという認知を広めたい」

     

    時には言葉は刃となり、人を傷つける。しかし、今や生活に欠かせないツールとなったインターネット。今やインターネットとリアルの世界は、切り離せるものではないという認識を持って、上手に付き合っていきたい。

     

    ※インターネット被害に遭った際の相談先一覧

    総務省㏋より

    https://www.soumu.go.jp/main_content/000720649.pdf

    総務省、インターネット上の誹謗中傷に関する相談窓口のご案内、PDF

  • アナタは大丈夫? 自宅がゴミ屋敷になるキッカケ“5つのパターン”

    アナタは大丈夫? 自宅がゴミ屋敷になるキッカケ“5つのパターン”

    2020年ももう残りわずかになってきたが、皆さん大掃除はすでに終わっただろうか?

    今年はコロナ禍に明け暮れた一年だったため、例年よりもずっと自宅にいる時間が長かった人も多いだろう。人によっては、部屋に荷物が増えて、散らかってしまったのではないだろうか?

    「でも結局、12月から1月に変わるだけでしょ? わざわざ今大掃除しなくてもいいんじゃない?」

    と考えている人も多いかもしれない。
    現に、筆者も例年そんな考えに陥る1人だ。

    筆者は、取材のために2年間ゴミ屋敷を清掃する会社で働いたことがある。
    今回はその時に聞いた、
    『部屋がゴミ屋敷になってしまったきっかけ』
    を見ていきたいと思う。

    ゴミ屋敷の様子
    ゴミ屋敷の様子

    01・失恋、離婚など男女の不和

    意外と多いのが、恋愛系の悩みだった。彼女に振られて自暴自棄になってしまい、しばらく自堕落な生活をしたら部屋がずいぶん汚れてしまった……というパターンは、男女ともに見られた。中には
    「●●君が再び振り向いてくれますように」
    と、お祈りがゴミだらけの机の上に置かれてる部屋もあった。。
    「まず部屋を片付けよう」
    と片付けながら思った。

    結婚生活が上手くいかず、家庭内別居が進む場合もゴミ屋敷になりやすい。
    どちらも積極的に部屋を片付けるタイプでもない場合、
    「自分だけが部屋を片付けたら損」
    という心理が働いてしまい、部屋はどんどん散らかっていく。
    どうしようもないくらい散らかった段階で、
    「さすがに片付けなきゃ……」
    と思うものの、一旦ゴミ屋敷になってしまうと、簡単には片付けられなくなる。片付けても片付けても片付かない、まるで賽の河原で石を積む子供のような状態になってしまう。
    ゴミ屋敷を清掃していると、ゴミの中からたくさんの清掃用品が出てくる場合が多い。特に多いのがゴミ袋で10~20個出てくることも珍しくない。
    なぜゴミ袋が発掘されるかというと、ある程度ゴミ屋敷になった段階で、ゴミを片付けようとはしたのだ。コンビニでゴミ袋を買ってきて詰めはじめた。
    だが努力は虚しく、掃除道具もゴミ袋もゴミに埋もれていく。
    失恋の傷は癒えても、ゴミ屋敷に新しい恋人を呼ぶことはできない。

    ゴミ屋敷の様子
    ゴミ屋敷の様子

    02・忙しくて、掃除をするヒマがない

    「そんなのは言い訳にすぎない」

    と怒る人もいるだろうが、実際に忙しすぎて部屋を片付けられなくなった人は多い。
    特に多いのが、看護師だった。
    「今回も看護師さんですか? 了解です~」
    と普通にやり取りするくらい、看護師さんの家主は多かった。

    理由はやはり忙しいことだろう。そして昼夜逆転する生活が続くことも原因かもしれない。今年はコロナ禍で例年よりもストレスがかかっている看護師さんは多いだろう。

    それともう一つの理由は、看護師さんは比較的収入が高いというのがある。これはゴミ屋敷になった理由ではなく、清掃会社を呼べた理由だ。
    部屋がゴミ屋敷になっても、月給15万円のブラック企業で働いている人は清掃会社は呼ばないだろう。だがそういう人は、少なくないと思う。
    ブラック企業に勤めていたらメンタルにダメージがあると思うが、ゴミ屋敷に住んでいても心が病みがちだ。あまりにひどい状態になって、自殺を企図しかけた人もいた。
    たかが仕事がきついだけ、たかが部屋が汚れているだけ、とは言えないのだ。

    ゴミ屋敷の様子
    ゴミ屋敷の様子

    03・物を買いすぎて、ゴミ屋敷のようになってしまった

    現在はだいたいのものは通信販売で買える。今日もアマゾンやメルカリなどのショッピングサイトでポチったよという人もいるだろう。
    部屋がゴミ屋敷になる人の特徴として、部屋のサイズを理解していないというのがある。つまり部屋の大きさの割に、物を買いすぎるのだ。ドアを開けると玄関周りにはアマゾンの空き箱が大量に山積みになっているケースも珍しくない。清掃をしているところに、次々とアマゾンから荷物が届くこともある。しかもせっかく買っても、開封していない人も多かった。

    「オークションサイトで競り落とすまでは気持ちが入っていたんだけど、いざ競り落として家に届いたら興味がなくなっちゃった」
    と語った女性もいた。
    凝った作りのハイヒールは、箱に入ったまま1年以上放置されていた。

    このケースで良くないのは

    「部屋は散らかっているだけ。部屋にあるのはゴミじゃない。だからゴミ屋敷じゃない」

    と思いこんでいる人が多いことだ。本人はどれだけゴミ屋敷じゃないと思っても、はたから見たらじゅうぶんゴミ屋敷だ。
    そしていざ清掃が入っても、荷物を手放さないので、部屋が片付かない。自分の部屋のサイズを認識して、そこに収まるように気をつけたい。またどうしても入り切らない場合は、倉庫を借りてしまうほうが良いだろう。

    04・ペット、子供が汚してしまった

    猫を飼っている人は非常に多かった。
    動物は飼い主の感情や状況はお構いなしに無慈悲に部屋を汚す。
    会社から疲れて家に帰ってきて、机の下に吐瀉物が撒き散らされているのを発見したり、枕がビリビリに破れて中の羽毛が部屋中に舞っているのを見たら、すぐには片付けはじめられない人が多いだろう。
    とりあえず汚れた部分を隠してしばらく放置していると、いつの間にか片付ける気が失せていく場合がある。片付けなければ、動物たちはますます部屋を汚していく。

    とにかく、動物を飼っていた人のゴミ屋敷は凄惨なものが多かった。
    糞が積もり、虫がわき、異臭が鼻を突いた。歴戦の清掃員たちにとってもかなり気が重い現場だ。

    ただそれよりも気が滅入るケースがあった。掃除をしていると、ゴミの中から子供用品が出てきた時だ。
    幼い子供用のおもちゃや、哺乳瓶が出てくると、こんな部屋で幼子が育てられていたのかといたたまれない気持ちになる。

    自分で自分すら面倒を見られない人は、少なくとも他の動物を飼ってはいけないと個人的には思う。

    というわけで今回は、ゴミ屋敷になるパターンの4つ紹介してきた。

    冒頭の、大掃除のくだりはあまり関係なかったじゃないか? と思うかもしれない。
    だが一応、意味はこめられている。
    実は筆者がゴミ屋敷清掃の記事を書いた時に、よくいただく感想が

    「記事を読んだらなんだかいたたまれなくなって、部屋を片付けました」

    「なんだか無性に掃除がしたくなって、深夜に掃除をしてしまいました」

    というものだ。
    この記事を読み終わったところで部屋を見回して欲しい。きっと皆さんも掃除がしたくなるんじゃないだろうか?
    そして……筆者も、年が明ける前に掃除したいと思う。

  • 「強姦犯の人殺し」という汚名を着せられたお笑い芸人 ~スマイリーキクチ中傷被害事件。「僕の人生はそんなに安く買えない」~

    「強姦犯の人殺し」という汚名を着せられたお笑い芸人 ~スマイリーキクチ中傷被害事件。「僕の人生はそんなに安く買えない」~

    スマイリーキクチ、笑顔、上半身

     

    スマイリーキクチさんは、太田プロ所属のお笑い芸人である。体育専門学校在籍時に友人と行ったパフォーマンスが評価され、芸人になるように薦められた。1993年に専門学校時代の友人と「ナイトシフト」というお笑いコンビを結成。コンビとして『GAHAHAキング 爆笑王決定戦』(テレビ朝日)に出演し、相方の芸能界引退によりコンビが解散したため、ピン芸人へ転向した。解散後はニコニコ笑いながら毒舌を吐くという芸風の漫談を続けてきた。「冬のソナタ」がブームとなった頃には、ペ・ヨンジュンに容姿が似ていたため、物真似もしていた。お笑い芸人として順風満帆とは言えないかもしれないが、それでも堅実に活動を続けてきた。

     

    ただ、読者の皆さんにとってキクチさんは、お笑い芸人というより「インターネットでの誹謗中傷の被害者」というイメージが強いかもしれない。

     

    あらためて説明すると、キクチさんは1998年頃より、インターネットの巨大掲示板2ちゃんねる(現5ちゃんねる)を中心として、「女子高生コンクリート詰め殺人事件」の犯人グループの1人であるといった誹謗中傷を受けた。

     

    1988年11月から1989年1月の間に起きた、「女子高生コンクリート詰め殺人事件」は、その残虐な犯行で世間を震撼させた。当時17歳だった被害者女性が、不良少年グループに拉致され、約40日間にわたって東京都足立区の加害者宅に監禁され、暴行・強姦を受け続け、集団リンチの末死亡。遺体をコンクリート詰めにされて遺棄されたというものだ。当時、少年法で保護された加害少年たちの名前は明かされず、インターネット上では、犯人が誰なのかという様々な憶測が飛び交った。スマイリーさんは「東京都足立区出身」で「犯人グループたちと同世代」という理由だけで、「強姦犯の人殺し」という汚名を着せられ、20年以上に渡り中傷され続けている。スマイリーさんは、著書「突然、僕は殺人犯にされた」でもその闘いの日々を書いている。

     

    今回は、太田プロの会議室で、キクチさんにインターネットの誹謗中傷被害の過去と現在の話を伺った。取材時間より早く到着してしまった筆者を、明るい笑顔でとても優しく迎えてくださった。取材中も始終おだやかな口調で、「なぜ、こんな人が殺人鬼と書かれ続けるのか」と強い憤りを覚えた。

     

    今でも中傷は続いているのか。その問いに「最近も書かれたばかりです」と自身のTwitterのアカウントを見せてくれた。スマートフォンには匿名の人物からのコメントが表示された。

     

    Twitter、スクリーンショット、中傷

     

    この書き込みは2020年12月15日に投稿された。今年5月に、SNSでの誹謗中傷が原因で、自ら命を絶ったプロレスラー木村花さん(当時22歳)を悼む、キクチさんのTwitterへの投稿に対するリプライ(返信)だ。キクチさんの名前を揶揄し「キチク(鬼畜)」と書いている。

     

    キクチさんは、にこやかに「慣れてしまいました。今では悲しいとも思いません。傷つくことに慣れましたが、なめてはいません」と言った。

    キクチさんには現在、妻と幼い子がいる。昨年、キクチさんと家族に対して、殺害予告があったという。警察は安否確認のパトロールをしてくれている。実際に暴行されるなどの事件にならない限り、捜査をしてくれないのが現状だ。できる限り、子どもの送り迎えなどは自分でしている。それが「慣れたけど、なめてはいない」との言葉となっている。

     

    木村さんの一報を読んで、たかがインターネットで中傷されるくらいで、なぜ自殺を考えるほど追い詰められてしまうのか、不思議に思った方もいるだろう。また「自分は木村さんのように有名人ではないから」「フォローワー数が少ないから」と、違う世界の出来事だと感じた方も多いのではないか。だけど、スマートフォンやタブレットで子供から大人まで、インターネットにアクセスできる時代になったからこそ、誰もが被害者に、そして加害者になる可能性がある。インターネットとリアルの世界は地続きだ。今月17日には、木村さんに対し、Twitter上で「いつ死ぬの?」などと中傷した20代の男が書類送検されたばかりだ。

     

    「警察に相談すると、インターネットの書き込みなんか見なければいいと言われました。僕も最初はそう思いました。根も葉もないことなんだし、放っておけば収まるだろうと。だけど、僕はインターネットの中傷をスープの中に入ったハエと例えて話しています。スープの大部分はおいしいんです。だけど、人間は、そのスープの中の異物であるハエに目が行ってしまうものなんだと思います。僕の場合は、運ばれてきたスープが最初からハエだらけだったような状態でした」

     

    キクチさんのように、自身や家族の殺害予告が書き込まれたとき、あなたはそれを「たかがネットの書き込みだ」と冷静でいられるだろうか。

     

    インターネットの誹謗中傷事件に強いといえば、神田知宏弁護士や清水陽平弁護士が有名だ。今では中傷犯の特定のハードルはだいぶ下がっているように見える。キクチさんの被害が一番ひどかった2000年前後はどうだったのだろうか。

     

    「当時は、神田先生も清水先生もまだ弁護士ではありませんでした。なので、値段も高く、相談料は1時間で35,000円。2人の弁護士さんが担当したので、合計で1時間70,000円でした。できる限り自分で調べないと相談料を支払えないので、必死に法律の勉強をしました。今は神田先生や清水先生が出てきたことで、価格が下がりましたよね」

     

    着手金だけで70万円、最高裁まで争えば200万円以上の費用がかかったという。今は、インターネットの中傷者を特定できる弁護士も増えている。相談料も30分5,000円、着手金は25万円ほどとなった。それでもあまりにも被害者側の負担が大きすぎる。原則、裁判費用は敗訴した側の負担となるが、相手に支払い能力がなければ、それらのお金は被害者側の負担だ。中傷されて心に傷を負った上に、犯人を特定するにもさらに経済的な打撃を負う。

     

    お笑い芸人として、目立たなければならないのに、目立つことで中傷の被害が広がってしまうというジレンマに苦しんだという。

    「致命的でしたね。イベントやライブの告知のたびに、犯罪予告などを気にしている状態では、充分な宣伝はできない。自分の名前を検索したときに、事件の名前が出てきてしまう。そんな芸人を企業はCMに使いませんよね。人はネガティブなキーワードを気にします」

     

    GoogleやYahoo!などで、人名や企業名を検索すると、サジェスト機能といい、その人物と関連性の高いキーワードが自動的に表示される。現在でも、キクチさんの名前を検索すると、図のようなキーワードがサジェストされる状態だ。

    Google、検索画面、サジェスト

     

    警察には相談していたが「(キクチさんを)本気で殺人事件の犯人と信じている人はいない」、「削除依頼をして様子を見ましょう」、「様子を見ればネット誹謗中傷は落ち着く」「インターネットなんか見なければいい」「有名税だ」と言われ、なかなか取り合ってもらえなかった。警察不信に陥った。

     

    「何で被害者の自分だけがインターネットを使っちゃいけないんだと思いました。自分の頭がおかしいんじゃないかと思った時期もあります。警察のことも恨みました」

     

    当時は周囲にいる誰もが敵に見えたという。電車の中でも変装に近い格好をし、人が自分を見ていると、インターネットの中傷者ではないかと疑心暗鬼となる日々だった。

     

    しかし、2008年8月に転機が訪れる。キクチさんは中野署の刑事課に赴き、やっと組織犯罪対策課のインターネット犯罪に強い男性刑事と出会う。中傷に苦しみだして、9年後のことだった。

     

    「『おかしいのは菊池さんではありません。インターネットであろうと中傷や脅迫は犯罪です。中傷している人間がおかしいです。今まで警察がきちんと対応しませんでした。これは警察の怠慢です。本当に申し訳ございませんでした』と謝罪されて、警察への恨みは晴れました。それでもあの時代に、インターネット犯罪に強い刑事さんに出会えたのは、運がいいことでした」

    今でも、インターネットの誹謗中傷に対する警察の対応は遅れている。

     

    しかし、そこから事態は大きく動く。2008年9月から2009年1月までに、キクチさんのブログに対して中傷の書き込みを行った犯人は千人以上いた。最終的に、書き込み内容や犯行回数などが悪質だと判断された、計19人の中傷犯が検挙されることとなる。

     

    だが、その後の書類送検で、キクチさんは、今度は裁く側の検察の無理解に苦しむ。

    「『あなたがインターネットを使わなければいい』で終わりでした。試すつもりで担当検事に、摘発された人たちの名前や住所を書き込んでもいいですかと聞くと、検事は『2ちゃんねるは悪いところだからダメだけど、ブログならいい』と言ったんです。隣にいた事務官が目を丸くして驚いていました。インターネットを知らない人がインターネットを裁いている状況がありました」

     

    そして、摘発された中傷者は誰一人、反省などしていなかった。むしろ、自分だけがなぜ警察に捕まったのか、みんな書いているじゃないか、自分はキクチさんより不幸なんだと、身勝手な言い分を並び立て、被害者意識をあらわにした。

     

    「特定された中に、国立大学の職員がいました。その加害者は『お金目当てなんだろう。いくら払えば告訴状を取り下げるんだ』と検事に話したそうで、検事はそのままを僕に伝えてきました。『僕の人生はそんなに安く買えないと伝えてください』と答えました」

    刑事さんに反省を口にした数時間後には、また中傷の書き込みを始めた者もいた。誰一人反省していない中、2009年11月、東京地方裁判所は加害者たちを不起訴処分にした。しかし、キクチさんは前に進むために、事件との折り合いをつけた。

     

    そして、昨年、自身が代表となり、インターネットの中傷案件を長年解決してきた、清水陽平弁護士と唐澤貴洋弁護士とともに「一般社団法人インターネット・ヒューマンライツ協会」を立ち上げた。現在は、「中傷加害者を減らすため」に様々な活動を行っている。次回はその取り組みと、インターネットとの付き合い方についてご紹介する。


    ※インターネットの中傷被害に遭った際の相談窓口一覧

    総務省㏋より

    https://www.soumu.go.jp/main_content/000720649.pdf

    総務省、インターネット上の誹謗中傷に関する相談窓口のご案内、PDF

  • 元火葬場職人が出会った亡人たち~白骨遺体・水死体・ホームレス・殺人事件の被害者~

    元火葬場職人が出会った亡人たち~白骨遺体・水死体・ホームレス・殺人事件の被害者~

    ミュージシャン、作家、怪談師など数多くの顔を持つ下駄華緒さん。下駄さんは火葬技士1級を持ち、火葬場と葬儀屋で働いた経験がある。雑誌『本当あった愉快な話』(竹書房)では『最期の火を灯す者』という火葬場での体験を元にした漫画の原作を書かれている。
    今回はそんな下駄さんに、様々なパターンの火葬場の対応について伺った。

    まずは、ホームレス生活をしている人の場合はどうなのだろうか?

    「火葬場では“保管”と呼ばれることが多いですね。市内の冷蔵庫で保管されていた人たちだからですね」

    (C)下駄花緒・蓮古田二郎/竹書房

    氏名・本籍・住所がわからず、遺体の引き取り手もない死者は「行旅死亡人」と呼ばれる。遺体そのものは、警察当局から葬祭業者に運ばれ、そこで保管される。

    「そういう遺体は、朝一で運ばれて来ることが多いです。そういう人たちは例えば『二十一郎』『四十郎』みたいな名前を付けられていましたね」

    保管されていた時の数字だろうが、さすがにそのままでは無機質すぎると思ったゆえの処置だろう。

    「『自称たっちゃん』とか書かれている遺体もありました。たぶん仲間うちでそう呼ばれていたんでしょうね。中には『自称加山雄三』なんてあからさまにウソと思える名前の人もいました」

    彼らの遺骨は、その後火葬場で保管するという。斎場保管と呼ばれ、冷暗所のような場所にズラッと骨壷が並べられている。下駄さんの働いていた火葬場には常に、300の骨壷があったという。
    引き取り手が現れることもある。連絡を受けて、自分の親の遺骨を引き取りに来る。

    ホームレス生活をしていた頃の、友人が遊びに来ることもある。
    親族でなければ遺骨を引き取ることはできないし、保管場所に入ることもできない。

    「そういう場合は、保管所の入り口に焼香台を立てて、そこでお別れをしてもらいます。それこそ
    『たっちゃん!! 会いに来たよ!!』
    って何人も連れ立っていらっしゃる場合もありました。界隈で慕われていたんでしょうね。ただこれは僕が働いていた火葬場の対応であり、他の場所が同じような対応をしているかどうかはわかりません」

    筆者は青木ヶ原取材によく行くので、そこではすでに骨になってしまった遺体をよく見る。知人が発見して警察に連絡したら、骨を運搬するのを手伝わされたという。思っていたよりも重たかったと言っていた。
    そういうすでに骨になっている遺体も、火葬するのだろうか?

    「白骨化した遺体も火葬します。骨は焼いても煙が出ないので、あまり気を使わなくていいですね。ドンドン火を当てて焼きます。ただ、焼けたかどうかは分かりづらいです。時間を測って焼いたりしますね」

    水死の場合や、土に埋まっていた場合など、骨に水が染み入っている場合は、なかなか焼けなくやるそうだ。

    「焼き終わって、お箸で崩そうとしたら、カンカン!! って固くて割れなったりします。なかなか難しいですね」

    中には、若い人の自殺体が運ばれてくることもあった。

    「ニュース見ていると、若い人がしょっちゅう自殺しているような印象受けますけど、実際にはすごく少ないですね。僕も10代の人の自殺は5~6回しか見ていません。若い人の火葬はとてもさみしいですね」

    まず、火葬場には両親しか来ない。両親が他人を呼ばないからだ。
    下駄さんが見た限り、両親の表情には悲しみは浮かんでいなかった。

    「もちろん悲しいんでしょうけど、でも悲しさよりも、“憤り”と“怒り”が上回っていました。『なんで?』という気持ちがヒシヒシ伝わってきて、見ていて痛々しかったです」

    ただ下駄さんは火葬場で働いていく上で「自殺はダメだよ」
    と安直に言うことができなくなったと言う。

    「人それぞれだよな、と思うようになりました。めちゃくちゃ苦しくて痛い病気もあります。そういう病気にかかって、その身体でお母さんの介護をしている人がいました。お母さんが亡くなった時に『晴れてこれで死ねます』と書いて自殺されたんですね。この人に『自殺はダメだ』って言えるほど、僕は偉くないなと思います」

    赤ちゃんの遺体が運ばれて来ることもある。棺ではなく、紙箱や紙袋、布にくるんだ状態で持ち込まれることが多いという。

    「赤ちゃんを焼くのは非常に難しいですね。
    握りこぶしの半分くらいの大きさの小さい赤ちゃんの場合もあります。火葬場の火ってかなり勢いがあるんです。火勢が強いと、飛んでいってしまうんですね」

    飛ばさないために、すごく弱い火で、時間をかけて焼くという。ただそれでも、状況によっては焼失してしまう可能性もある。
    火葬する前には
    「骨が残らないこともあります」
    と説明をするという。

    「ただ僕が焼いた中で、骨が残らなかったことはないですね。とても小さな骨が出ます。ただ小さくても形は大人と一緒です。小さくても人間だったんだな、と分かりますよ」

    最後に、事故や殺人事件で亡くなった人についてお話を伺った。

    「葬儀屋で働いていた時に、警察署に行ってくれって言われたら、事故や事件で亡くなった“痛ましい遺体”だな、と思います。もちろん葬儀屋は遺体を確認して『これは遺族が見るには厳しいな』と判断します」

    それでも遺族は遺体を「見たい」と言う場合が多いという。

    「そういう場合は、一番屈強な人を呼んで
    『あなたに確認してもらって、OKだと思ったら皆さんに見てもらってください』
    とお願いします。そうすると多くの場合は、『無理ですね』となります。
    火葬場で焼けている様や、遺体を見てしまうと、その人の最後の姿がそれになってしまうんですね。だったら生きている時の姿を胸に焼き付けておいたほうが良いと、僕は思います」

    殺人で亡くなった人も、基本的には同じように火葬場に運ばれてくる。

    「もちろん、殺人事件の被害者だからと言って特別なことはありません。ただ、実感はないのですがふと『殺人者がいたのかもしれないな?』と思うことがあります」

    日本の殺人事件は50%以上が親族間で起きている。70歳以上の人が被害者の殺人事件に限定すれば、70%以上が親族が犯人だ。
    つまり、多くの殺人事件の犯人は親族なのだ。

    「火葬場に来る人の数はお葬式に来る人に比べれば少ないですが、多い時には50人以上が集まることもあります。
    『犯人が火葬場に来ていることも、あるだろうな』
    と思います。未解決事件でも火葬はしますから、身内が犯人だった場合火葬場に来てるんだろうなと……。そう思うと、ちょっとだけゾクッとしますね」

    殺人事件の際、テレビのインタビューに答えていた人が犯人だったというケースがある。殺人犯も何食わぬ顔で、お骨上げをしていたケースがあるかもしれない。

  • 元火葬場職人は見た! ~自分の軽トラで遺体を運ぶ人・親族同士の遺骨の奪い合い~

    元火葬場職人は見た! ~自分の軽トラで遺体を運ぶ人・親族同士の遺骨の奪い合い~

    下駄華緒さんは、ミュージシャン、作家、怪談師など数多くの顔を持つ下駄華緒さん。火葬技士1級を持ち、火葬場と葬儀屋で働いた経験があり、雑誌『本当あった愉快な話』(竹書房)では『最期の火を灯す者』という火葬場での体験を元にした漫画の原作を書かれている。

    今回は火葬場時代で働いていた時代に出会った、人たちについてお聞きした。

     

    多くの人は、葬儀屋が選んだ火葬場で焼いてもらうことが多いと思う。人生で何度も経験することではないから
    「私の夫は、あの火葬場で焼きたい!!」
    などと積極的な思いがある人は少ないだろう。ただ、自分で選ぶことは可能だ。

    「僕は自分の祖母を自分で焼きました。兵庫県から大阪まで運んで自分で火葬しました。ただ、それが良かったかどうかは疑問ですね。どうしても仕事として焼くことになるので、親族としての感傷はなくなってしまいました。言い方は変ですけど、もったいなかった、と思います」

    基本的には葬儀屋さんに任せきりにしようと思う人がほとんどだが、中には自分でやろうと思う人もいるらしい。

    「一件だけですが、DIYで作った棺桶に遺体を入れ、軽トラで運んできた人がいました。火葬許可証をとったり、その後埋葬許可証をとったりするのはそれほど難しいことじゃないです。ただ、自分の家族が亡くなった後に、それをするのはそうとうな胆力が必要ですね」

    もっと極端に、
    「棺桶なんていらないだろう。遺体は自動車の助手席に載せて運ぶから良い」
    という人すらいるという。

    「ただ、遺体はただ動かない人ではないんですね。どんどん変化していきます。葬儀屋はそういう変化をよく分かっています。例えば棺にドライアイスを入れますが、あれはただ冷やしてるだけじゃないんです。遺体が腐りづらい冬場でも、ドライアイスは欠かせません」

    ドライアイスは、当てることによって体液を凍らせているのだという。体液をコチコチに凍らせてしまえば、体液が漏れ出てくることがなくなる。

    「遺体を助手席に乗せていたら、身体から溢れた液体で社内が汚れてしまう可能性は高いと思います。法的には全部自分でやっても大丈夫ですが、餅は餅屋で慣れている人たちに任せたほうが無事に済むとは思います」

    (C)下駄花緒・蓮古田二郎/竹書房

    日本は亡くなった人は火葬しなければならない。だから、あらゆる宗教の人が、火葬場に来る。宗教ごとに対応は変わるのだろうか?

    「宗派によって対応は変えています。仏教はお焼香を出しますし、神道だと榊を飾ったりします。キリスト教の場合は献花台を出します。基本的にはこれくらいの違いなのですが、キリスト教の方には、『骨を灰になるまで焼いて欲しい』とお願いされることが多いです」

    遺族の願いは叶えてあげたいが、灰になるまで焼くのは難しいという。普通は長くても90分ほどで焼き終わるが、灰になるまでとなると、何時間も焼かなければならない。炉がそもそもそういう風には、作られていないのだ。

    「もし全部灰にして良いなら、完全なオートメーション化をして、灰になるまで焼き切るシステムが作れると思います。それは実はそれほど難しいことではなく、そうなれば職人もいらなくなると思います。
    遺骨を残すために苦労して慎重に焼くわけです。それくらい日本人は遺骨に対するこだわりが強いです」

    お骨上げの時に、骨の奪い合いが始まることは珍しくないという。
    引き取り手が複数ある場合、分骨と言って小さい骨壷に分けることがある。その場合、喉仏の取り合いになる。
    喉仏とは男性の喉にある出っ張りのことではない。あれは軟骨なので、火葬するとなくなってしまう。
    第二頚椎(上から二番目の首の骨)であり、この頚椎には歯状の出っ張りがあるため、仏様が結跏趺坐しているように見える。

    「喉仏は一つしかないですからね。遺骨の前で取り合いがはじまります。みなさん、お通夜を経て、火葬場へ来ていますから、疲れていて苛立っている場合が多いんです。ケンカになってしまうこともあります」

    ただ、逆に遺骨はいらない、という遺族もいる。その場合残った骨は、合同埋葬地に埋葬される。火葬場の敷地内や霊園の中に埋葬地がある場合も多い。

    「しばらく残骨倉庫と呼ばれる場所に保管します。一週間~二週間で、骨業者と呼ばれる業者に運ばれて行きます」

    骨業者は市からの委託で動いている。
    彼らの収入は、遺族が棺桶にいれたアクセサリーや歯のかぶせもの、人工関節などの、金属だ。金、銀、プラチナなどの金属を回収して、収入に変えている。

    「レアメタルは埋蔵量が決まっているわけだから、ただの心情で埋めてしまうより、再利用したほうがいいですよね。
    親族が亡くなった時は、アクセサリーなどは外したほうが良いです。どうせ回収されてしまうわけですし、アクセサリーを入れることで遺骨が綺麗に残らなくなる場合もあります」

    ガラス製品が溶けて喉仏に張り付いてしまったり、金属のせいで色がついてしまったりと、弊害はあるという。

    「骨に色がついていると『花の色がつきました』と説明する場合が多いですけど、ウソです。金属が燃えたせいですね。お骨を綺麗にのこしたいなら、なるべく棺桶の中に物を入れない方が良いです」

    火葬ならではの苦労やトラブルもあるけれど、ただ下駄さんは火葬という遺体の処理方法は好きだという。

    「火葬は好きですね。遺体が炉に入って、数時間後には骨になって帰ってくるじゃないですか。完全に形が変わるわけです。だから『亡くなったんだな』と心の中で納得しやすいと思うんです。
    土葬だと、なんだか踏ん切りがつかないというか、まだ居るんじゃないかな? とどうしても思ってしまいそうです」

    下駄さんと話しながら、僕は昨年自分の師匠が亡くなって火葬されたのを思い出した。
    病気で痩せて苦しそうな遺体を見るのはつらかった。火葬されて骨になった師匠を見て、とてもさみしいながらも、どこか安堵したのを覚えている。

  • 元火葬場職人に聞く『焼き場のリアル』~起き上がる遺体、立ちのぼる黒煙、吹き出す水~

    元火葬場職人に聞く『焼き場のリアル』~起き上がる遺体、立ちのぼる黒煙、吹き出す水~

    ミュージシャン、作家、怪談師など数多くの顔を持つ下駄華緒さん。下駄さんは火葬技士1級を持ち、火葬場と葬儀屋で働いた経験がある。雑誌『本当あった愉快な話』(竹書房)では『最期の火を灯す者』という火葬場での体験を元にした漫画の原作を書かれている。
    今回はそんな下駄さんに、火葬場で働いていた時代のエピソードを伺いたいと思う。

    (C)下駄花緒・蓮古田二郎/竹書房
    (C)下駄花緒・蓮古田二郎/竹書房

     

    そもそも、なぜ火葬場で働こうと思ったのだろうか?

     

    「当時バンドやってたんですが、先輩のバンドマンにすごいイカツイ人がいたんです。格闘技もやってるバリバリの人だったんです」

     

    そんな先輩には風の噂があった。
    「アイツは人を焼いたことがある」
    と言われていたのだ。

     

    当時は今より尖っていた下駄さんは、本人に「人を焼いたことあるのか?」と訪ねた。すると
    「ああ、昨日も焼いたで」
    と、こともなげに言われた。

     

    「よく聞いたら、火葬場の職員だったんです(笑)。その一年前に、僕のおじいさんが亡くなって火葬場に行ったんですが、その時はじめて“斎場職員”という仕事を認識していました。」

     

    どうやったらなれるか? と聞いたら、「募集してるよ」と言われた。

     

    興味を持った下駄さんは、大阪の火葬場に就職をすることにした。ちょうどその頃、火葬場の体制が大きく変わろうとしている時期だった。
    東京23区内は民営の火葬場が多かったが、その他の地域はほとんど公共の仕事だった。民営化が進められる時期であり、火葬場も会社になった。下駄さんも、会社員として火葬場に就職した。

  • 緩和ケア医療は終末期だけのものではない ~3人に1人が亡くなる身近な病気がん。乳がんでスタージ4の末期の母の治療チームの再結成~

    緩和ケア医療は終末期だけのものではない ~3人に1人が亡くなる身近な病気がん。乳がんでスタージ4の末期の母の治療チームの再結成~

    がんは、日本人の死因で最も多い病気だ。現在、日本では、3人に1人ががんで亡くなっている。だけど、身近な問題として感じたのは、母ががんになってからのことだ。

     

    「乳がんになった。右乳房の全摘出手術を摘出する」と母から連絡があったのは、2年前の4月。その時、母は70歳だった。

    乳頭も残さない。術後、抗がん剤治療はせずに、ホルモン療法だけすると方針を固めていた。

    抗がん剤の副作用で苦しみながら、寿命を伸ばすより、仕事を続けて、人生を楽しみたいという理由だった。

     

    そして、手術を終えた母は、右わきのリンパ節も郭清(かくせい:手術で、がん細胞など悪性物を取り払うこと)した。そして、肝臓や腎臓にも転移リンパ節を通して、がんは転移していた。リンパ節を郭清すると免疫力は低下する。それでも余命1年と言われていた母は、2020年12月現在、まだパートを続けている。

     

    術前は、抗がん剤治療は受けないと決めていたが、人は生きることへの希望を簡単に捨てることはできない。なので、母は今までにトータル2回の抗がん剤治療を受けている。弱音を一切吐かないし、月に一度は一緒にビールを楽しんでいた。勝ち気で人に弱みを見せるのが大嫌いな母。抗がん剤治療を受けると髪の毛が抜けるが「このウィッグ、素敵でしょう?」といつも元気だった。もちろん、抗がん剤の影響は全身に出ていて、化粧品でも少し成分が強いとアレルギー反応が出るようになり、顔にはシミが増え、疲れやすくはなっていた。

     

    そんな母が、3回目の抗がん剤治療を受ける今回は「診察室のついてきて欲しい」と頼んできた。親子なのになぜ今まで診察室に着いていかなかったのか?勝ち気な母は、娘の私にも自分の病状を知られるのを嫌い、全ての決断を自分でしてきたからだ。

    それなので、今回の母のお願いには「いよいよ死期が迫っているんだ」と私は動揺した。

     

    母のがんはステージ4。末期だ。

     

    「今回、抗がん剤治療を受けたら、手足にけいれんが出るかもしれないと言われた。死ぬまで抗がん剤を続けることになる。そうしたら、仕事も続けられなくなる。だけど、抗がん剤で少しでも寿命が延びる可能性があるなら、受けたいと思う。だけど、仕事や月に一回、あなたと飲みに行く楽しみもなくなる。緩和ケアに切り替える選択肢もあるけれど、決心がつかない。一緒に先生の話を聞いて欲しい」という希望だった。

     

    筆者は発症から2年過ぎて、初めて、緩和ケアや親の介護について、調べ始めた。

     

    緩和ケアという言葉は耳にしたことがある人も多いだろう。緩和ケアとは、がん患者の苦痛を取りのぞき、患者と家族にとって、自分たちらしい生活を送れるようにするためのケアのことだ。

     

    がんになると、どのようなことが起きるか?

    ●痛み、倦怠感などのさまざまな症状

    痛みは、がん患者さんの70%にみられます。

    ●落ち込み、悲しみなどの精神的な苦痛

    • せまりくる「死」への恐怖
    • 自分の「人生」に対する問い

    引用:緩和ケア.net http://www.kanwacare.net/kanwacare/point01.php

     

    緩和ケアとは具体的にこのようなことを行う。

     

    「緩和ケア」の定義とは?

    痛みや、そのほかの苦痛となる症状を緩和する。

    生命を重んじ、自然な流れの中での死を尊重する。

    死を早めることも、いたずらに遅らせることもしない。

    死が訪れるまで、患者さんが自分らしく生きていけるように支える。

    患者さんの治療時から、患者さんと死別した後も、ご家族を支える。

    患者さんやご家族に、心のカウンセリングを含めたさまざまなケアをチームで行う。

    生活の質(クオリティ オブ ライフ:QOL)を向上させ、前向きに生きるちからを支える。

    がん治療の初期段階から、外科手術、化学療法、放射線療法などと連携しながら、緩和ケアを行う。

    引用:緩和ケア.net http://www.kanwacare.net/kanwacare/point01.php

     

    筆者は緩和ケアというと、終末期の手の施しようがなくなった方にモルヒネや鎮痛剤を処方するというイメージを持っていた。なので、母の終末期までじっくり調べなかったのだが、

    実は緩和ケアはがん治療の初期段階から、がん治療と一緒に受けるケアなのだ。

     

    これを知った筆者が母に話すと「医師からそんな話はなかった。色々なところに転移しているから、痛みも不安も強かった。もっと早く知りたかった」と言った。

     

    診察に付き添うにあたって、母が通院している大学病院のソーシャルワーカーにも事前に相談した。ソーシャルワーカーによると「患者さん側から希望を言わないと、勧めない医師も多いので、診察の際に緩和ケアを受けたい旨を医師に伝えてください。そうすれば、緩和ケア病棟の医師が治療チームに入ります」ということだった。認知度が低く、主治医の主眼は抗がん剤にあるような気がした。

     

    また緩和ケア病棟の入院費は高額だ。

    1日の入院料の自己負担分

    「緩和ケア病棟」として認可を受けた施設の場合、医療費は定額制です。

    「緩和ケア病棟入院料」は1日当たり37,800円となっており、この金額には健康保険が適用されます。ですから健康保険で3割負担の方の場合、1日の自己負担額は37,800円×0.3=11,340円になります。

    引用:神戸医療センター https://kobe.hosp.go.jp/cancer-medical/faq/4265.html#:~:text=%E3%80%8C%E7%B7%A9%E5%92%8C%E3%82%B1%E3%82%A2%E7%97%85%E6%A3%9F%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6%E8%AA%8D%E5%8F%AF,11%2C340%E5%86%86%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

     

    またソーシャルワーカーによると、入院できる時期も決まっており、料金も高額なことから、緩和ケア病棟への入院は現実的ではないという。

     

    お金がふんだんにあれば有料老人ホームに入居するという手段もあるが、母の場合、在宅で緩和ケアを受け、終末期を迎えることとなる。

     

    母ががんになって一番に感じたのは、母自身の希望が一番だということだ。どう死ぬかはどう生きるかにつながる。母の死は母のものであり、母の人生なのだ。これから筆者は、自宅での介護に向けて、要介護認定の申請手続きに行き、母の「治療チーム」の再結成が始まる。

     

  • 風俗狂いの知的障害者が700万円の借金! ~弁護士に聞く、彼らを止める、たったひとつの冴えたやりかた~

    風俗狂いの知的障害者が700万円の借金! ~弁護士に聞く、彼らを止める、たったひとつの冴えたやりかた~

    筆者のもとには、様々な支援者より障害当事者のケース(事例)に関する話が舞い込む。その中で多かったのは、精神・発達・知的障害者の金銭トラブルに関するものだ。

    1人の精神障害者が90枚近いクレジットカード・キャッシングカードを持っている、生活保護受給中に借金が発覚し破産手続きとなる、責任能力のない知的障害者が風俗通いで700万円近くの借金をしている。

    そういったケースは非常に多く耳にする。

    支援者からの「なぜ、そんなにカードが作れるのか?」「責任能力のない障害当事者がした借金はどうなるのか」という疑問の答えを、現役弁護士に伺った。

     

    今回、取材させていただいたのは、豊島区の大塚駅から徒歩10分ほどの場所にある

    東京あかつき法律事務所岩本拓也弁護士だ。

    岩本弁護士は中央大学在学中から、身体障害者の権利擁護やケアを行うサークルの代表者を務めていた。そして、「大型トラックの運ちゃん」をしながら、司法試験の勉強を続け、弁護士となった異色の経歴の持ち主。非常に気さくで、おおらかな人柄で、相談者は後を絶たない。現在も障害者の成年後見人や保佐人を引き受けている。

     

    成年後見人とは、認知症や知的障害等の疾患や障害により、判断能力が著しく低下した方の財産を保護するために、家庭裁判所から選任されて、本人や親に代わり、財産保護や身上監護を行う者のことだ。後見人は本人の代理ができる(代理権を持つ)のに対し、保佐人は本人が決めた行為に同意を与える(同意権を持つ)。本人に代わって契約を交わせるのが後見人で、本人が決めた契約に同意したというお墨付きを与えるのが保佐人と書くと分かりやすいだろう。

     

    まず、1人の精神障害者が90枚近いクレジットカードを持っているケースなどは、なぜ起こりうるのだろうか。筆者は、借り入れには収入証明を求められるイメージが強かった。

     

    「今はどこに行っても、カードを作れ・作れと勧めますよね。

    その都度、カードを作っていたら、何枚でも作れるでしょう。

    障害者手帳の有無などは個人情報なので、本人が言わなければ分かりません。

    審査も甘いところなどいくらでもあります。

    身分証明と印鑑だけで貸すところはいくらでもあります」

     

    2010年6月に施行された総量規制(貸金業者から借りられるお金の総額の上限を規制する法律。貸金業者は本人の年収の3分の1までしか貸付ができない)だが、その対象は、キャッシングのみである。クレジットカードはショッピング枠とキャッシング枠とに分かれているが、ショッピング枠に関しては総量規制の対象ではない。法の施行以降、増えている破産案件は、ショッピング枠での自己破産だという。

     

    「私の担当したケースの中には知的障害者の方が、風俗通いが好きで、700万円の借金をしてしまったものがあります。

    親がいくら止めようと、隠れて借金をしてくるのだからどうしようもない。

    それなので、私が成年後見人となって、債務整理をしました。

    今でも障害年金の支給日を待てずに、風俗に行きたいというメールが1日100通くらいくることがありますよ。

    だけど、そこはなだめて、ご本人の財産を管理します」

     

    1日100通のメールである。筆者ならそのメールの通数だけで、参ってしまいそうだ。

     

    そういった人の中には、生活保護を受給する人もいる。生活保護は筆者自身が受給した経験があるが、借金など可能なのかを伺った。

     

    「生活保護受給前からカードを持っていて、そのまま福祉課に隠していたら、バレないでしょう。

    もちろん生活保護を受給する際に、福祉課から、保護費から借金の返済をしてはいけないと言われます。

    しかし、今はクレジットカード決済のみのお店も増えているので、『生活費の支払いを翌月にする』だけですので、福祉課も反対する理由がない。

    生活保護を受給しているのも個人情報なので、言わなければ分かりません。

    それに、仮に受給中にバレたとしても、それをもって生活保護は廃止となりません」

     

    最近ではスマートフォンも高額になっている。生活保護費内で一括購入することは難しい機種も多い。その際の割賦契約だって借金である。そう考えると、生活保護受給中の借金は確かに可能だ。

     

    生活保護を受給してから自己破産を申請することも多いという。生活保護受給者は、法テラスの制度を利用すれば、弁護士費用を立て替えてもらえる。そして、その後の法テラスへの支払いも、生活保護受給期間中は免除されるのだ。

    このコロナ禍で職を失い、生保受給を迷っている方には、ぜひそういった制度を活用し、生活を立て直して欲しい。

     

    筆者の疑問は、貸し付けたとしても、自己破産されてしまったら、カード会社は損をするのではないかということだ。最後にそのことを伺った。

     

    「総量規制の施行後に増えたのは、銀行系カードローンの借金による自己破産です。

    総量規制は消費者金融の貸し付けに対する規制でした。

    ですが、消費者金融のバックには銀行がついていますよね。

    結局は、昔は消費者金融がやっていたことを今は銀行がやっている。

    一定の割合が破産しても、儲かるからこそ貸し付けるのでしょうね」

     

    しかし、コロナ禍で浮き彫りになっているのは、生活保護や法テラスを利用しての自己破産、成年後見人制度などを知らずに、追い詰められてしまう弱者の姿だ。精神・発達・知的障害を持っている人であれば、自力で情報を集め支援に結び付くことも難しい。今、一番必要なのは、支援につながる前段階の「プレ支援」だろう。

  • 「警察官だって3日食べてないって言えば500円くらいくれるよ」と語る、多摩川の河川敷で生活するホームレス。餓死、病死、飛び降り自殺……死はいつも近くにある。

    「警察官だって3日食べてないって言えば500円くらいくれるよ」と語る、多摩川の河川敷で生活するホームレス。餓死、病死、飛び降り自殺……死はいつも近くにある。

    多摩川河川敷を歩いていると、橋の下に大きな小屋を見つけた。大きさもさることながら、小屋の周りには電化製品や廃材が置かれていてアート作品のような雰囲気になっている。思わず足を止めて眺めていると、

    「ようあんた、その家に用があんのかい?」

    とちょっとつっけんどんに声をかけられた。見ると、自転車に乗った70歳前後のおじさんだった。ちょっと訝しんだ目でこちらを見ている。

    多摩川河川敷の小屋
    多摩川河川敷に建てられた小屋

    「俺は、そこに引っ越してきた人にお世話になってるからよう。いたずらとかされたら、困るんだよ」

    と言われた。素直に

    「すいません、ちょっと見てただけです」

    と謝る。
    ただ「引っ越してきた」というのが気になったので、事情を聞いてみる。

    多摩川のホームレス
    多摩川で生活する男性

    「そこ住んでた人いなくなって空き家になってたんだよ。で、知り合いが引っ越してきたの。
    小屋はよく人がいなくなるよ。ただどっかにいなくなる場合もあるし、死んじゃうこともあるよ。そこに住んでた人はたしか死んだよ」

    とこともなげに言った。
    ただ住んでいた人が亡くなったという話を聞いて、僕の顔色が変わったのをおじさんは察したようだった。

    「まあこんな生活やってたら死ぬ奴は死ぬからよ。こないだも俺の小屋の近所に住んでいるヤツが死んだよ。なんかで足を怪我して、そこが化膿したらしいよ。腫れちゃって。ボランティアの人から病院に行けって言われてたんだけど、本人が嫌だって言って、そのまま死んじゃった」

    とサラリと言った。
    人がいなくなった後の小屋には、違う人が住む。昨今人が亡くなった物件は事故物件と言われて忌み嫌われているが、多摩川の河川敷ではそうでもないようだった。
    上野公園などでは、人がいなくなった小屋はすぐに公園管理事務所に撤去されていた。
    現に小屋には、国土交通省から占用の許可をえている東日本高速道路(株)と京阪管理事務所からの警告の張り紙が貼られている。


    『告 この土地は東日本高速道路(株)が国土交通省より占用を受けている河川敷です。面積の大小にかかわらず使用されることは明らかに違法行為です、速やかに撤去されるようお願いします。』
    と丁寧な言葉でおどしている。
    強制撤去されないのか気になった。

    「バカ、撤去するったって金がかかるだろうよ。2トン車呼んだら7~8万はかかるよ。人も2~3人はいるだろ? 業者に頼んだら、それこそ何十万もかかっちゃう。役人だって、そんな大事にしたくないだろ。
    ちなみにその小屋の周りにあるゴミの半分は、一般の人が持ってきた物だぜ。近所の連中や、花火に来た連中が置いていくんだ」

    まあ、たしかに河川敷の橋の下に小屋がひとつあったからって、誰も困らない。
    わざわざ撤去するために大変な思いをしても、結果的に得るものもさしてない。

    「結構、ここいらで自殺してる人も多いよ。ホームレスも一般の人も。橋から飛び降りたりしてな。あんまり話題になってないから、たぶん役所が揉み潰してるんじゃない? 自殺の名所になっても困るだろうからさ」

    というと、おじさんは楽しそうに笑った。

    たしかに河川敷で生活しているホームレスに話を聞いているとたまに
    「橋からの飛び降り自殺を見たことがある」
    と耳にする。多くの人は
    「警察官に何度も何度も同じ話聞かれて大変だった」
    と続ける。
    日本で自殺スポットと言っても橋はあんまりピンとこないが、アメリカのゴールデンブリッジや、韓国のマポ大橋は自殺の名所になっている。報道があいつげば、自殺スポットとして人が集まってくる可能性はある。

    しばらく話をしていたので警戒心が弱まったのか、よもやま話に付き合ってくれた。
    河川敷のほうを軽く指差す。

    「ここらへんの風景も変わったよ。昭和30年台はゴルフ場だったんだよ? でもボールが電車にあたったらまずいってんで、バイクのサーキットになったんだ。
    んでそれも壊して、屋根付きの休憩所とかになってな。そして今は木を植えて、水が流れる公園にしてるんだ。これもあと何十年かしたら違うもんねなるんだろうけどよ。まあ俺は70でもうすぐ死ぬから関係ねえけどな。わはははは」

    実際、話を伺った数年後である2019年の10月には台風による被害もあったことから、より安全になるよう川、河川敷ともに工事が勧められている。
    おじさんは、頻繁に“死”を口にする。だが言い方は明るい。それに、まだまだ元気そうである。

    「そりゃ元気だよ。まだまだ飯を食わなきゃいけねえからな。俺は食うために生きてんだよ」
    と言った。「生きるために食う」のではなく「食うために生きる」のか。なんだか、凄味みたいなものを感じた。

    「まあここいらじゃ、よく人が死んでるから、普段から私服の刑事(デカ)がウロウロと回ってるよ。俺らにも『身体大丈夫かい?』なんて聞いてくるよ」

    河川敷や公園で取材をしていると、
    「警察に冷たくされた」
    「暴言を吐かれた」
    なんて声をよく聞く。でも優しい警察官もいるらしい。
    「刑事は俺みたいにバカじゃねえから、話しかけてもベラベラとは喋らねえけどな。
    『3日間何も食べてないよ』
    とか泣きつくと、500円くらいくれるよ。まあ嘘で言ってたらもらえないかもだけど。なりを見りゃ本当に食ってないかどうかはわかるからな。
    役所の人だって本気で『もう3日間も食ってないんですよ』って言えば、500円くらいくれるよ。まあ絶対にもらえるわけじゃねえし、名前も書かされるけどな」
    とおじさんは少し得意そうな顔で言った。
    なかなか生々しいサバイバル術である。
    でも確かに、餓死するくらいなら、誰かに頼ったほうがずっと良い。
    おじさんは片手を上げると、キーキー音のする自転車に乗って行ってしまった。
    なんとなくおじさんが言った
    「俺は食うために生きてんだよ」
    という言葉を反芻しながら駅に向かった。